Column/コラム

税務署の事前相談の使い方と限界

税務署の事前相談の使い方と限界

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百四十二回目。

テーマは、

「税務署の事前相談の使い方と限界」

です。

税務上疑義が大きな問題が生じ、その問題を解決す
るための明快な事例が書籍やデータベースにない場
合、ミスは許されませんので税理士であっても税務
署の見解を聞くべきと考えています。

しかし、税理士の質問に原則答えない、という取扱
いが税務署ではなされており、税理士が来署して相
談したいというと、税務署から断られることもある
ようです。

このような場合どうすべきかよく聞かれますが、や
り方としては納税者とともに必要な資料を持参して
直接税務署に行くべきと思います。

この場合、身分を聞かれなければそのままそのまま
でいいですし、聞かれた場合には嘘をつかず「税理
士」と名乗ればいいと思います。

さすがに、税務署の目の前に来てまで、内規を持ち
出して追い返すのも質が悪いですしクレームにも発
展しますから、その場で追い返すことは多くはない
と思います。

ただし、押さえておきたいのは、税務署に相談した
としても、相談を信用したことで生じた不利益の救
済は基本的にはありません。

一例として、某税務雑誌において、税務署に相談し
て源泉所得税が課税されないと言われたのに、実際
のところは課税対象になるもので後日課税されたた
め、審査請求になった事例が紹介されていました。

ここでは、誤った指導がなされても、それは権威あ
る担当者の見解ではなく一般職員の見解に過ぎない
ため、それを信頼しても納税者は救済されない、と
判断されています。

権威ある担当者、というと税務署長などが挙げられ
ますが、税務署長などは納税者や税理士の相談に応
じることはありません。

応じてしまうと、権威ある担当者の見解ということ
で後日トラブルになるからです。

この点を国税当局は熟知しているからこそ、不祥事
を起こしてどんなに怒鳴られようと決して税務署長
などを納税者の目の前に出さないのです。

こうなると、相談に言ってもあまり意味がないので
はないか、といった指摘も聞きますが実はそうでは
なく、以下の二つの理由で有用です。

一つは、権威ある担当者が答えていないとしても、
誤った指導がなされたことは事実と判断されれば、
税務調査のペナルティーである加算税が課されない
ことがあります。

この点、先の事例もそうでした。

もう一つは、担当者が誤った指導をしたことは大き
な交渉材料になることです。

法律的には担当者がミスしても納税者は救済されな
いので税務署は無視しても問題ない訳ですが、税務
署としては穏便に物事を済ませたいと考えることが
通例です。

となると、税務調査で優位に立てる交渉材料になり、
場合によっては、誤指導が関係する論点については、
「見なかったことにする」という対応がなされる場
合もあります。

このようなメリットがありますので、税務署への事
前相談は積極的に利用すべきと考えます。