種類株式⑦全部取得条項付株式
おはようございます!
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種類株式シリーズの第7回目は、全部取得条項付
株式です。
前回は、取得条項付株式。今回は、【全部】取得
条項付株式。
全部がついているかどうかの違いですが、その内
容は大きく違うので、扱い方に注意です。
全部取得条項付株式は、「株主総会の特別決議に
よって」会社がその種類株式をすべて回収できる
株式です。
前回の取得条項付株式は、一定の事由が発生する
ことで、会社の意思のみで買取が行われましたが、
全部取得条項付株式は、株主総会の特別決議が必要
となっている点が、大きな相違点です。
つまり、会社の意思のみでは買取は行えません。
(その他の相違点はほとんどありません)
では、なぜ会社にとって不利な全部取得条項付株式
を発行する場面があるのか。
それは、全部取得条項は定款変更によって、事後的
に付すことができるためです。
(定款変更は特別決議です)
それにより、少数株主を排除したいときや、会社再
生の場合の100%減資に利用できます。
今回はスタートアップにより関係の深そうな少数株
主の排除方法(スクイーズアウト)についてお伝え
します!
【全部取得条項付株式の取得によるスクイーズアウトの方法】
■前提
発行済株式総数 1,000株
(すべて普通株式)
(経営者が900株保有、株主Aが70株保有、
株主Bが30株保有)
ステップ① 株主総会で普通株式に全部取得条項
を付す旨の定款変更
→経営者が90%保有しているので、定款変更の
特別決議は通せる
ステップ② 新普通株式(全部取得条項が付され
ていない株式)を設ける定款変更
ステップ③ 会社が全部取得条項付種類株式を全
部取得することと引き換えに②の新普通株式を交
付する特別決議を行う
→交付する株式が、経営者以外は1株未満にす
るような交換比率とする
→上記の例であれば、種類株式90株ごとに、
新普通株式を1株交付するようにする。
→すると、経営者は10株、株主Aは0.78株、
株主Bは0.33株となる。
→株主Aと株主Bの保有する1株未満の株を
端株(はかぶ)という。
→会社法234条により、端株は金銭に変える
こととなっている。
→株主Aと株主Bは、端株に相当する金銭を
受け取り、株主ではなくなる(経営者の持ち分を
100%に回復できる!)
いかがだったでしょうか。
全部取得条項が、スクイーズアウトの場面で非常
に強力なことがお分かりいただけたと思います。
次回は「拒否権付株式」について説明します。
どうぞ次回もお楽しみに!