Column/コラム

資料振分ツール開発の経緯 ペーパーレス事務所の “舞台裏” 第8回
2024.01.09
ペーパーレス

資料振分ツール開発の経緯 ペーパーレス事務所の “舞台裏” 第8回

資料振分ツール開発の経緯 ペーパーレス事務所の “舞台裏” 第8回

皆さん、こんにちは! 紙無 和也です!

前回までのコラムでは、セブンセンスグループのペーパーレス化された業務について、その業務フローの上流から下流までを各工程ごとにご説明していきました。
今回からは、セブンセンスグループが独自に開発して使用しているDocuWorksのプラグインソフト「資料振分ツール」に関するお話を全4回にわたってお伝えしていきたいと思います!

これまでのコラムでも登場し、非常に反響が大きかった資料振分ツールですが、いったいどのように誕生したのでしょうか?
誕生の裏側には、皆さんが1度は経験しているあの作業を楽にしたいという思いがあったのです。

医療費集計ツールの誕生

7年前の12月。
確定申告を目前に控えた社内では、資料振分ツールの前身となるあるツールの開発が進められていました。

当時、BPO支援部と呼ばれる部署では、確定申告時の医療費控除のために顧問先から預かった領収書を集計するという業務をまかされていました。
確定申告を経験された方なら一度は経験されているこの作業。非常に単純ではありますが、時間のかかる作業であることはお分かりかと思います。
当時、BPO支援部部長(現セブンセンスグループCTO)の山口さんは、作業手順を確認するために実際に集計作業を行ったそうです。
セブンセンスグループでは当時から資料をすべてDocuWorksで電子化していましたので、画面に表示されている領収書画像を確認しながら、1枚1枚Excelに手入力をしていくという作業を繰り返していたところ、あるアイデアが思い浮かびました。

山口さん
「Excelに入力するのであれば、DocuWorksファイルにメタ情報として埋め込んでしまうことができるんじゃないかと思ったんですね。」

DocuWorksは画面に表示されている画像のデータだけでなく、メタ情報(属性や関連する情報を記述したデータのこと)をページごとに持たせることができます。
領収書1枚ごとに、メタ情報として日付、人名、診療機関・薬局名、金額、医療費区分といった、集計に必要な情報を持たせることができるのではないか?というアイデアから、医療費控除集計ツールの開発がスタートしました。

セブンセンスグループCTOの山口さん。メタ情報の埋め込みは、DocuWorksのSDK資料を見ていたことから着想を得たそうです。

山口さん
「1枚の領収書の入力が終わったら次の領収書が表示されるように、一つの画面で表示と入力ができれば楽なのではないかなと思い、ツールの基本的なUIが決まりました。
また、人名や診療機関名などは何度も繰り返し入力するのではなくて、クリックで選択式にした方が早く入力できるんじゃないか。
そして、入力が終わると病院や人ごとに束ねたファイルが出力できるといいんじゃないか。といった感じで次々に機能を追加していきました。」

スキャンの属人化を解消したい

こうして医療費集計ツールが完成し、BPO支援部が利用していたところに別の部署から声がかかります。
それが、現在も資料の入庫処理やスキャン業務を行う資料管理課でした。

当時の資料管理課では資料のスキャン作業を専任の担当者が行っていました。
専任体制になる前は、顧問先の担当者が自身でスキャンをしてこの作業を行っていたのですが、この部分の業務だけを任されることになったのが資料管理課でした。

当時、資料管理課で問題となっていたのが作業の属人化でした。当時の状況を知る森さんはこう語ります。

森さん
「スキャンをするときは、回収してきた資料から必要なものだけを集めて分類したうえでスキャンをしていました。
その方がスキャンの枚数も減って手間も省けるし、ファイルになった後の作業も少なくて済むからです。
だけど、どの資料が必要なのかは顧問先ごとに違っているし、いる・いらないを判断することをほかの人に任せられなかったんですよね。」

これは、いわゆる前さばきと呼ばれる作業のことですが、これは非常に属人的な作業であったため、どうしてもスキャン作業と一体にしなければならなかったそうです。

現在の資料振分ツールは、当時よりもさらに使い勝手がよくなっていると語る森さん。

そこで、資料管理課では回収した紙資料の状態での前さばきをせず、『すべての資料をスキャンした後に前さばきする』というフローを考えました。
しかし、すべての資料をスキャンするとその数は膨大になりますし、DocuWorksは『1つのファイルを複数のファイルに分類する』という作業をスピーディーに行うのに十分な機能を持っていませんでした。
そんな時に医療費集計ツールが登場し、この機能を応用することで月次資料の前さばきにも使用できるのではないか?というところから資料振分ツールの開発がスタートしたそうです。

森さん
「現在では、資料振り分け(前さばき)を石垣島オフィスの方にもやってもらっています。
スキャンは税務の知識がない方でも行えますから、提携している外部のパートナー企業さんにも依頼できるようになりました。」
※セブンセンスでは、資料スキャンを静岡や東京の拠点で、資料振り分けを石垣島や静岡の拠点で行っています。

資料振分ツールが業務で使われるようになってからは、資料管理課が行っていた業務を別拠点の職員にも依頼できるようになり、属人性が一気に解消されたそうです。
単純に作業スピードが上がるだけではなく、業務フローそのものに大きな影響を与えた資料振分ツール。
次回のコラムでは、その開発秘話を担当者に聞いていきたいと思います!