Column/コラム

総合勘案はこうやって対策する

総合勘案はこうやって対策する

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百二十九回目。

テーマは、

「総合勘案はこうやって対策する」

です。

税法を解釈する場合、「総合勘案」という考え方が問
題になります。

税法は非常に複雑な仕組みであり、数多くのグレー
ゾーンが生じます。

このグレーゾーンについて、具体的な取扱いを判断
する場合には、さまざまな事実関係を総合して検討
した上で、法律に当てはめる必要があります。

このような法令解釈を「総合勘案」と言います。

総合勘案の代表例は、給与と外注費の区分です。

給与になるか外注費になるか、その判断は、

①その仕事が他人で代替できるか
②その仕事において依頼主等の指揮監督を受けるか
③成果物を納品できなくても報酬を受けられるか
④材料などを自分で負担しているか

という4つの要素を総合勘案し、より近い方の区分
に該当するとされています。

しかし、これらの要素を全部判断するとすれば、判
断内容が多いため見解の相違も大きくなり、一義的
にどっちになるか決まりません。

このため、往々にして税務署とトラブルになります。

こういう訳で、総合勘案が絡む場合にどのような対
応をするべきか、税理士から相談を受けることがあ
ります。

まず押さえるべきは総合勘案というのは、税務当局
も一義的に判断することが出来ないということです。

このため、総合勘案が絡む規定で税金を取る場合に
は、税務当局が攻めやすい要素だけを取り上げる傾
向があります。

具体的に捕捉すると、給与と外注費の区分について
は、上記④の区分が重視されます。

この理由は、他の要素とは異なり、負担した材料の
領収書などの証拠が残りやすいからです。

税務調査は納税者が自発的に提出する修正申告で終
わらせるのが原則ですから、納税者を説得する必要
があり、そのためには証拠が重要になります。

このため、証拠が残る④の区分が税務調査では問題
になることがほとんどです。

言い換えれば、ここをきちんと固めておけば、税制
上給与より有利になる外注費に当たると主張しやす
くなります。

このため、総合勘案が絡む項目についての税務調査
対策においては、どの判断基準で税務当局が攻めて
くるのかあらかじめ予測し、その判断基準に対して
は、予め集中して対策を取るのが有効になります。

税務署が狙うのは、「証拠が残る」判断基準ですので、
各判断基準を検討しておく必要があります。

なお、ここでいう「証拠」については、領収書など
の証憑だけではなく、取引先の証言など反面調査で
入手できるものも挙げられます。

役員が退職したかどうか、その判断においては金融
機関との折衝に退職した役員が出席したかが特に重
視されます。

それは銀行を反面調査すれば分かるからです。

税務調査の事前対策として経理を強化すべきと言わ
れますが、それと同様に、どの判断基準で攻めてく
るかの予測も重要な事前対策です。