Column/コラム

『世界の相続税17』- 地球は宝石箱 ❷-

『世界の相続税17』- 地球は宝石箱 ❷-

『世界の相続税17』- 地球は宝石箱 ❷-

News Room《“International Taxation” News》
(2023.8.28)

海外資産にかかる税務は少しずつ身近な出来事になってきています
“GEPAS biz letter”は、seventh sense groupの大切なお客様に向け、
海外税務に関するさまざまな情報を発信しております
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 Topic『世界の相続税17– 地球は宝石箱 
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前号(8/14)のめるまがでお伝えしました
8月の誕生石であるペリドットは、
その原産国は主にハワイですが、
筆者の知人もハワイには数名居住しており、住みやすさの話をよく聞いています。

しかし、今回起きたハワイの山火事がこれほどの災害になるとは考えてもおりませんでした。
幸いにも知人たちの安全には問題ありませんでした。

このたびハワイで発生した山火事は甚大な被害をもたらした上、
 多数の方がお亡くなりになりました。
 このことに対し心からお見舞いを申し上げ、
 被災地の1日も早い復興と犠牲になられて方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

そして、亡くなった方に、
地球が次のエネルギーをもたらし、
新しい命をもって身近な人の傍に誕生されてくることを、
重ねて祈っております。

=== === ===
地球の内部への旅ですが、
しばらくは黄緑色に透き通るペリドットの小さな石が、
キラキラと光りいっぱい詰まって続きますが、

さらに地下を掘り下げて2,900㎞を過ぎて、
深く地球のコア(赤色のところ)に近づくと、
そこは“サラサラの鉄の海”(銀色のところ)が詰まっているのです!
ここでは強い電流がながれているため地球には南北の磁場ができているわけですね。

この地球磁場のバリアは、降り注ぐ太陽風のプラズマから地球をまもってくれています。
それでもこぼれおちるプラズマがオーロラ現象を生み出しているそうです。

「地球中心部イメージ」
(出所:地球の中心”コア“への旅より)
SCIENCE CHANNEL (科学技術振興機構)

更に5,100㎞先の金属の液体の中に、地球の“コア”が浮かんでいます。
コアは最も重い原子で密度が強い結晶構造からなっていて、温度は15,000℃。
地球のコアは月の2/3くらいの大きさで、
地球内部に隠された “惑星のような存在”とも言えそうです。

☆そして驚くことに、“コア”の表面は白銀の世界。。
高さ100㎞の白銀の樹木がおいしげる白銀の森!
前人未到の 美しい世界が存在していると言うのです。

「コアの表面」出所同上:筆者加工

★地球の99%はこのような美しい鉱物で構成され、
その丸い鉄のかたまりの上に、
私たち生き物が乗っているのですね。

国際的には地球地下物質も“地球公共財”とされていて、
全人類の共通利益とされています。
鉱物は地球関係者全員へのプレゼントと言えそうです。

■1■.米国の遺産税 (Federal Estate Tax)
米国の遺産税は、故人(被相続人)のかわりに遺産財産
(遺産執行人:executor、遺産管財人:administrator)が
遺産税を負担するというところが、日本と大きく異なる点になります。

なお、米国では連邦の遺産税“federal estate tax”のほかに、
州の遺産税“state inheritance tax”がある地域がありますので留意が必要になります。
(※遺産税と相続税は異なります。富の精算か再配分かの根本的な考え方が違い、
英米式と大陸式で分かれます。詳細はあらためて。。)

≪Estate&Inheritance taxes ≫
 ~各州の遺産・相続税の有無~

・青緑 ・・遺産税
・赤  ・・相続税
・橙  ・・なし
・青赤枠・・両方あり

(図出典:アーバン・ブルッキングス税務政策センター)http://www.taxpolicycenter.org/
現在、コロンビア特別区を含む以下 19 の州で州財産税または相続税が課されています。
これらの州は、コネチカット、デラウェア、ハワイ、イリノイ、アイオワ、
ケンタッキー、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、
ミネソタ、ネブラスカ、ニュージャージー、ニューヨーク、
オレゴン、ペンシルベニア、ロードアイランド、テネシー、バーモント、ワシントンです。

★たとえばハワイ州・・
ハワイ州は連邦の遺産税以外に州の遺産税(Inheritance tax)がかかります。
ハワイ州の基礎控除額は$5.49million(約6.3億円)で、
税率は10%から20%です。

■2■. 連邦遺産税の申告書

遺産税申告書Form706のひな形は次のようになっています。

~ Form 706 U.S.Estate Tax Return ~


《 総遺産額 :1.GROSS ESTATE 》
■ ②「その他資産の資産時価 (FMV Property)」についてですが、
遺産額と遺産税が減少することが前提であれば、
遺産を死亡日の時価に替えて、代替評価日の時価で行うことができ、
代替評価日選択方式となっています。
この代替評価日は、死亡日から6か月後の日になります。

《 年間各種控除額 :2. ADEDUCTIONS 》
■ ①「遺産の管理費用 (Administrative expenses )」のについては、
もし課税対象遺産が無い場合は、
所得税Form1041(Income Tax Return for Estate and Trusts )にて
控除することができます。

《 統一移転税額控除:7.Unified Tax Credit 》
■ 死亡した配偶者が使用しきれなかった統一移転税額控除は生存している
配偶者がひき継ぐことができます。

■3■. 米国の統一移転税制って相続税なの?
米国では統一移転税制という方法によって、
贈与税と相続税(遺産税)は一体になっています  。

➣米国の贈与と遺産の税制のしくみは、
1976年租税改革法:tax Return Act of 1976で大きく変更されており、
生涯にわたる贈与と遺産の最終的な課税結果は
移転税:transfer tax」という制度で一体化されています。

== Overview of Federal Estate Tax ==
~ 米国の連邦相続税の計算の概要 ~
Federal estate tax は、生まれてから亡くなるまでの財産の移転をトータルし、
これにUnified transfer tax rateを乗じて税額を求めます。
そこから生前の贈与税総額差し引くことで計算される仕組みになっています。

~ 米国遺産税の基礎税額控除:Unified Transfer Tax Credit ~
納税者が一生涯にわたって利用できる相続と贈与税の基礎税額控除額は次の表のようになっています。
トランプ税制になってからインフレ調整によって急激かつ毎年増えています。


(作表:筆者作成)
(SEE:  Most relatively simple estates (cash, publicly traded securities, small amounts of other easily valued assets, and no special
deductions or elections, or jointly held property) do not require the filing of an estate tax return. A filing is required for estates with combined gross assets and prior taxable gifts exceeding $1,500,000 in 2004 – 2005; $2,000,000 in 2006 – 2008; $3,500,000 for
decedents dying in 2009; and $5,000,000 or more for decedent’s dying in 2010 and 2011 (note: there are special rules for decedents
dying in 2010); $5,120,000 in 2012, $5,250,000 in 2013, $5,340,000 in 2014, $5,430,000 in 2015, $5,450,000 in 2016, $5,490,000 in
2017, $11,180,000 in 2018, $11,400,000 in 20
19,$11,580,000 in 2020,$11,700,000 in 2021,$12,060,000 in 2022,and $12,920,000 in
2023.


~ 米国遺産税の税率:Estate tax rates ~

(参照:米国贈与・遺産税の参照条文
[Source :IRS  Treasury Regulation]
➣ 26 U.S. Code Title 26— INTERNAL REVENUE CODE (IRC)
➣ Subtitle B-Estate and Gift Taxes ( §2001-2801) )

★★ 米国連邦の遺産税申告は レア ⁈ ★★
実際のところ、
アーバン・ブルッキングス税務政策センターによると、
米国では、免除額を超える資産を持っている人のほとんどは、
最終的には多額の相続税を支払うことにはならないと報告しています。
議会予算局は、遺産税と贈与税が2020年の連邦歳入を集めたのは、
わずか約176億ドルに過ぎないと指摘しています。
これは、1兆ドルを超える富の約1パーセントに相当する富裕層は
生前の対策が進んでいることが要因としています。

(参考:According to the Urban-Brookings Tax Policy Center.
The Death Tax Isn’t So Scary for States | Tax Policy Center

米国の遺産免除額は多額(現在では日本円で15億円以上)なので、
一般市民の方で課税される方は、それほど多くはいないのではという点です。
現バイデン大統領は遺産免除額を下げようと考えています。
しかし、次の大統領選挙までに実現できるか今のところ不明です。

このことから、日本は米国とだけ “相続税二国間租税条約” を締結していますが、
実際に実務で利用する機会はあまりないところです。。

筆者も米国連邦遺産税の実務に遭遇したことは数回程度です。
今のところ、日米クロスボーダーの相続贈与税申告の実務で留意する点は、
見落としがちな米国の ”州” 遺産税制度と、
日本側の相続税制度との違いへの対応がポイントになりそうです。

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(記載のお詫び)
8/14のメルマガの記述にて
”一番深い地下鉄駅は、42.3㎞” との記載しておりますが、
正しくは42.3でございました。
大変に失礼いたしましたことお詫び申し上げます。

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