Column/コラム

相続税調査の区分とそこから見える対策

相続税調査の区分とそこから見える対策

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百十九回目。

テーマは、

「相続税調査の区分とそこから見える対策」

です。

権威ある税務雑誌で解説されていたのですが、相続
税の税務調査は、納税者を財産に応じ、大きく3つ
の区分に分けて行われているようです。

具体的には、低階級が1億円未満、中階級が5億円
未満、高階級がそれ以上と、このような形で区分が
なされているようです。

富裕層であればあるほど、しっかりと調査すべきと
いうことでこのような区分になっていると想定され、
実際のところ税務調査の日数も、上位の階級に区分
されればされるほど、長くなるようです。

それにとどまらず、税務調査で問題視される内容も
上位の階級と階の階級では大きな違いがあると指摘
されています。

具体的に申し上げると、下位の階級の税務調査にお
いては、相続財産の申告漏れがメインになる反面、
上位になると、相続財産の評価誤りが争点になりや
すい、ということです。

この理由は、税務署の相続税の税務調査では、評価
ではなく不正の発見に力点が置かれているからと考
えられます。

不正の発見に力を入れるということは、だれの目に
も明らかな誤りを見つけるということを意味します。

このため、グレーな評価ではなく、ほとんどの相続
税の税務調査は、預金の申告漏れや名義財産など、
財産評価に関係ない論点を指摘で終了します。

実際のところ、税務調査で問題になる相続財産は預
貯金が圧倒的に多く、評価が問題になる土地や株式
はそこまで問題になっていません。

財産評価は複雑で難しく、かつ見解の相違も大きい
ため、評価が関係ない預貯金などを問題にすること
が多いのです。

一方で、高い階級の納税者については、申告する財
産の金額も大きいこともあり、財産評価の誤りも大
きな税金の追徴につながります。このため、財産評
価の論点を大きな問題となります。

以上を踏まえると、相続財産が少ない場合は多少相
続財産の評価を誤ってもスルーされますが、多額の
財産を持っている場合には、評価についても十分に
注意をして行う必要があります。

しかし、高階級では財産評価が問題になるとはいっ
ても、その中で実際に指摘を受けるのは4割未満と
いったデータもこの雑誌には掲載されていました。

高い階級は評価にも厳しい、と言いながら、税務調
査の目的は不正発見にある訳で、極力財産評価を税
務調査で問題にしない、という実態がこの数値に反
映されているように思います。

となると、相続財産の申告漏れがなければ後は税務
調査の争点にはなりにくい財産評価の問題となりま
すので、多少評価を間違えてももれなく申告するこ
とが相続税の対策上は重要になります。

このことは相続税の節税においても重要です。

私も軽々がありますが、相続税の税務調査の交渉上、
申告がもれている財産は適正に申告するので、財産
評価については多少低くすることを認めてほしい、
といった主張をすると、国税的に評価は面倒なこと
もあり通ることが多いという印象もあります。