Column/コラム

組織再編成に必須の「講演録」は無料開放せよ

組織再編成に必須の「講演録」は無料開放せよ

組織再編成に必須の「講演録」は無料開放せよ

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百二回目。

テーマは、

「組織再編成に必須の「講演録」は無料開放せよ」

です。

法人税で最も難しい分野の一つに、合併などの
組織再編成に係る税制が挙げられます。

この税制は、平成13年度の税制改正で
作られたものですが、内容が複雑なだけではなく、
量も膨大です。

困ったことに、組織再編成を行うことで
多額の税金を節税できる場合もあることから、
実務で頻繁に目にすることが多く、
そのたびに難しくかつボリュームの多い条文を
慎重に読む必要があるため
大きな手間がかかります。

組織再編成については、実際の法律に
書いてある条文だけではなく、
その条文が書かれた趣旨が
重要になると言われます。

この趣旨を読み解く際、最も重要な資料は
平成13年度改正の際、組織再編成を作った
財務省主税局の担当者がとある研修会で述べた
「講演録」と言われます。

この「講演録」については、
その講演を行った担当者も随所で
「素晴らしい内容」であると自画自賛しており、
組織再編成に係る自身の論文等で
よく引用しています。

このような事情がありますので、
この担当者の方は、国側の代理人となった
組織再編成に関する税務裁判においても、
この「講演録」を引用して意見書を
作成しています。

裁判所も実際に条文を作った者の意見は
無視できませんから、
この「講演録」を基に重要な判決を行いました。

その結果、法律ではないただの一個人の
講演内容ですが、組織再編成を行う税理士
であれば、必ず参照しなければならない資料
になっていると言えます。

しかし、この「講演録」ですが、
組織再編成を行う上で必携の資料で
あるにもかかわらず、現状絶版となっており
入手が難しいです。

幸い、東京の大崎にある税理士会の租税図書室には
原本がありますので、それをコピーすることが
できますが、東京に事務所がある税理士は
別にして、地方で活動する税理士の場合、
上京するのも大きな手間ですから入手困難と
言えます。

このため、あまり問題視されませんが、
組織再編成の税制については、
それに必要な資料の入手が困難という、
大きな欠陥があると言わざるを得ません。

この点、実際に、組織再編成の税制を
作った先の財務省主税局の担当者のセミナーを
聞くと、組織再編成については
条文をきちんと作っているので、
法律をしっかりと読めば内容が分かる、
といった解説がなされています。

しかし、その発言とは裏腹に、
組織再編成の実務上、「講演録」を
用意していても、処理に迷うことが多くあります。

とりわけ、組織再編成は大きな節税になる反面、
その処理を間違ってしまえば多額の
税理士賠償訴訟につながりますので、
現状は税理士にとっては
非常に酷な状況であるとも言えます。

こういう訳で、著作権の関係も
あってなかなか難しいかもしれませんが、
少なくともこの「講演録」については、
国税庁のホームページにおいて無料で
適宜引用できるようにする必要がある
と考えています。