持続化給付金詐欺と税理士
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第三百五十八回目。
テーマは、
「持続化給付金詐欺と税理士」
です。
コロナ禍という国難に対して非常に残念な
話ですが、予想された通り、持続化給付金の
詐欺が最近多数報道されるようになってきました。
迅速な給付という目的はあるにせよ、
持続化給付金のチェックが大甘であることは
よく知られていましたので、起こるべくして
起こった人災と言わざるを得ません。
とりわけ残念なこととして、那覇の事案ですが、
このような詐欺にかかわっている容疑がある
税理士についての報道もありました。
報道によると、この税理士は事業実績の
ない者の虚偽の確定申告などの書類を
用意させ、給付手続きを行っていたようです。
本当なら当然許せる話ではありませんが、
更に腹立たしいのは、給付された給付金の
一部を「成功報酬」で貰っていたことです。
給付金や補助金は、顧客からお金を
とりやすいため成功報酬型のビジネスが
横行していますが、持続化給付金は
他の補助金などとは異なり審査が甘く、
かつ税理士の手間などほとんどかかりません。
にもかかわらず、「成功」と言って
高い報酬をとったのなら、残念な限りです。
仮にこの報道が真実であれば、
この税理士には免許停止など厳罰が
望まれますが、それと同時にこのような
税理士の実態を、国税や税理士会がなぜ
把握できなかったのか、監督体制についても
大いに疑問が残ります。
といいますのも、この税理士の事務所は、
持続化給付金目当ての客で行列が
できていた、と報道されているからです。
税理士事務所に行列ができるなど、
常識としてあり得ません。となれば、
税理士会や税務署にも何らかの情報は
入っていたと個人的には考えています。
とりわけ、地方の税理士会においては、
「税理士が所属する支部の会合に
出席するのは当然」といった慣習が残っており、
その支部の税理士はすべて顔見知り、
といった状況もあり得ると聞いています。
このことを踏まえれば、
「行列のできる税理士事務所」の実態を
税理士会が把握できていない、
などということはあり得ないと考えられます。
実際のところ、税理士会も国税も、
税理士の非行を防止するなどと言いながら、
そのチェックは基本的に
あってないようなものと考えています。
税理士の懲戒権限は国税にありますから、
税理士会は税理士法のリスクについて、
税理士に注意することはあっても
最終的には「我関せず」です。
一方で、国税は税金を取るのがメイン
ですから、その実、税金を追徴できない
税理士の監督に力を入れていません。
実際、税理士の脱税や名義貸しなどの
露骨な違法行為がある場合に限り、国税は
税理士の懲戒を行っている印象があります。
このような税理士に対する甘い監督も、
持続化給付金詐欺を助長させた一因
であるはずです。今後は税理士会を中心に、
税理士に対する監督を強める必要があると考えます。