実地調査前の反面調査は違法でない
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第三百五十三回目。
テーマは、
「実地調査前の反面調査は違法でない」
です。
本連載でも繰り返し申し上げていますが、
税務調査で国税に法律上義務付けられている
事前通知を決して過大評価してはいけません。
例えば、会社に対する税務調査の事前通知が
なされる前に、銀行を反面調査して社長の
個人口座などを調べることは違法であると
主張したり、事前通知で税務調査日の連絡を
しているのに、その前に反面調査をすることは
不当であると力説したりする専門家が
未だに存在します。
しかし、事前通知は「実地の調査」をする際に
必要な手続きで、「実地の調査」以外の
「調査」にはそもそも必要ありませんし、
何より事前通知に違反しても国税には何ら罰則も
ありませんから、このような専門家の解釈は
筋違いと評価せざるを得ません。
同じ調査であっても、「実地の調査」と「調査」は
異なります。具体的には、国税の通達において
「調査」とは、特定の納税者につき、
その税額が正しいかどうかを検討する一連の
手続きをいい、実際に会社に行かずに行う証拠資料の
収集や法律の解釈なども含まれるとされています。
このため、予め反面調査して証拠を集めることも
調査の一環ですし、納税者から提出された申告書を
国税の内部で検討する机上調査も「調査」もあたります。
一方で、「実地の調査」とは、
皆様がイメージされる調査、即ち調査官が会社に
来社して帳簿や原始記録などを確認して行う
調査を意味します。
このような調査を行う場合、
会社に予定を取ってもらう必要もありますし、
資料を用意する負担なども発生しますから、
会社の事務負担軽減のため、予め国税が
納税者に事前通知をすべきとされているのです。
ここまで踏まえれば、「実地の調査」をするための
事前通知がなくとも、国税の権限である「調査」の
一環として、予め反面調査を実施することに
問題はないはずです。
反面調査は取引先に対する調査であり、
事前通知の対象になる納税者本人に直接負担を
強いるものでもありません。
加えて、国税の内規を見ますと、
「実地の調査」前に反面
調査を行うのは、国税が持っている情報だけで
実際に「実地の調査」を行うべきか判断が
つかない場合もあるため、
予め情報収集することで、
その必要性を検討するという意味合いがある、
といった解説もなされています。
となれば、反面調査の結果「実地の調査」を
されないこともある訳で、事前通知前の反面調査は
必ずしも不利益だけではないと考えられます。
こういう訳で、「事前通知をしていない以上、
国税は調査ができないはずなので不当調査である」
といった主張は筋違いと評価されますが、
このような風説がまかり通る背景には、
ろくに法律も読めないし勉強も足りないのに、
事前通知を過大評価する、
自称税務調査の専門家がいることが原因です。
このような専門家は、フェイクニュースを
税務調査対策ノウハウと偽って世間に
垂れ流しますので、騙されないよう
注意する必要があります。