Column/コラム

株主総会資料の電子提供制度

株主総会資料の電子提供制度

株主総会資料の電子提供制度

おはようございます。

金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。

金曜担当の私からは、会計・財務、税務、監
査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えし
ます。

111回目の今回は2022年9月1日に施行される、
改正会社法において適用される「株主総会資
料の電子提供制度」についてお伝えします。

「株主総会資料の電子提供制度」とは、簡潔
に言えば、株主総会参考書類、事業報告、監
査報告、計算書類、連結計算書類等の株主総
会資料を

自社のホームページ等のウェブサイトに掲載
することで、株主に対して適法に資料提供を
したことに出来る制度です。

インターネットの発達したこのご時世に、資
料提供を電子的に行うのは当然と思われる方
もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これまで、会社法においてはこの点
の整備が行われていませんでした。

これまでも、インターネット等を用いて株主
総会資料を株主に提供することはできました
が、

株主の個別の承諾を得る必要があったため
(会社法299条3項、301条2項、302条2項)、

株主数の多い上場会社での利用は現実的では
なく、ほとんど利用されていませんでした。

また、事業報告や計算書類、議案については
印刷して郵送し、

計算書類や議案についての説明書類について
は自社のホームページ等に掲載するという方
法が一般的でした。

電子提供制度により、全ての書類を電子的に
提供することが可能となります。

ただし、今回改正された電子提供制度は、定
款にその旨を定めた会社に限って利用するこ
とができる制度です(会社法325条の2)。

そして、この制度は上場会社においては適用
が強制されるものであるため(会社法の一部
を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備
等に関する法律 10条2項)、

上場会社においては定款において電子提供制
度を定める必要があります。

この会社法の改正は2022年9月1日施行である
ため、来年2022年12月期や2023年3月期にか
かる株主総会で適用するためには、

今年の2022年中に開催する株主総会において
定款を変更しておくことがスムーズとなりま
す。

実際に、12月決算の上場会社においては、20
22年3月開催の株主総会において、当該定款
変更を株主総会の議案としている会社が見受
けられます。

電子提供により、従来のように分厚い書類を
郵送することはなくなるため、印刷・郵送コ
スト等の低減のほか、

株主へ迅速な提供が行われること等が見込
まれます。

非上場の企業においても、今後、定款変更が
進んで行くと予想されていますので、皆さん
の会社でも検討してみてはいかがでしょうか。