Column/コラム

『富裕層と海外投資の税務調査』

『富裕層と海外投資の税務調査』

『富裕層と海外投資の税務調査』

Topic『富裕層と海外投資の税務調査』

国税庁より11月に、令和3年分の所得税の税務調査状況が公表されました。
富裕層への税務調査は年々力が入ってきており、今回は過去最高の追徴税をマークしています。
この内容をお伝えしたいと思います。

課税庁の調査の主な取り組み

1.富裕層に対する調査状況
2.海外投資等を行っている個人に対する調査状況
3.インターネット取引を行っている個人に対する調査状況 等。

富裕層への税務調査の結果

有価証券・不動産等の大口所有者や、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている「富裕層」と言われる個人に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的な調査が実施されました。

(結果)
2,227件を実地調査の結果、1件当たりの申告漏れ平均所得金額は、過去最高の3,767万円となり、所得税の実地調査全体の2.3倍となっています。

また、申告漏れ所得金額の総額は839億円に上り、1件当たりの平均追徴税額は過去最高の1,067万円となり、所得税の実地調査全体の3.3倍となりました。

また、追徴税額の総額は238億円をマークし、特に海外投資等を行っている「富裕層」に対しては、1件当たりの追徴税額は2,953万円をマークし、所得税の実地調査全体の9.1倍と高額となっています。(下表参照)

富裕層に対する調査の状況

海外投資家への調査結果

課税庁は、経済社会の国際化に適切に対応するために、有効な資料情報の収集を行い、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用しながら積極的な調査を実施しました。

(結果)
2,043件の実地調査を実施し、1件当たりの申告漏れ平均所得金額は、過去最高の3,690万円に上り、所得税の実地調査全体の2.3倍となりました。
また、申告漏れ所得金額の総額は754億円に上り、1件当たりの平均追徴税額は過去最高の1,119万円で、所得税の実地調査全体と比べ3.5倍となっています。

また、追徴税額の総額は229億円をマークし、こちらも過去最高額となっています。(下図参照)

海外投資等を行っている個人に対する調査の状況

取引区分別の調査状況

(取引区分の説明)
1.「輸出入」:事業に係る売上/原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引。
2.「役務提供」:工事請負、プログラム設計など海外において行う、労力、技術等の第三者に対するサービスの提供。
3.「海外投資」:海外の不動産、証券などに対する投資(預貯金等の海外での蓄財を含)。
4.「その他」:海外で支払を受ける給与など、1~3に該当しない取引等。

インターネット取引を行っている個人の調査結果

インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分 野の経済活動(注)に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。

<シェアリングエコノミー等新分野の経済活動取引の個人の調査結果>
シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことをいいます。

(結果)
839件の実地調査を実施し、1件当たりの申告漏れ平均所得金額は、1,382万円となっており、申告漏れ所得金額の総額は116億円に上っています。
1件当たりの平均追徴税額は266万円をマークし追徴税額の総額は22億円に上ります。

シェアリングエコノミー等新分野の経済集活動に係る取引(調査状況)

(令和2年度は、この経済活動に暗号資産(仮想通貨)
が含まれていますが、令和3年度は下記のように区別集計されています)

<暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人の調査結果>
444件の実地調査を実施し、1件当たりの申告漏れ平均所得金額は3,659万円となっており、申告漏れ所得金額の総額は162億円になります。
1件当たりの平均追徴税額は1,194万円となり、追徴税額の総額は53億円とこちらも過去最高税額をマークしました。

暗号資産(仮想通貨)等取引(調査状況)

近年では、CSRという国際的金融機関情報交換網の提供により、国外預金等の簿外資産や預金利息等の申告もれが多く発見され、昨年は追徴8億円弱が出ています。
※出典:令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況 R4/11(by 国税庁)

気が付かないところで税金が発生していたことが、税務調査で明らかになっていますので、ご自身の海外資産について事前の確認が必要な時期になっていると言えそうです。

最後までお読みくださってありがとうございました。

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