死亡保険金は相続財産となるか知りたい
60代・女性のご質問
夫が先月病死しました。私と夫の間に子どもはいません。
夫の両親はすでに他界していますが、夫には弟が1人います。
夫は生前3,000万円の生命保険に入っており、義弟はこのことを知っています。
昨日、義弟から夫の遺産分けについて、この3,000万円を含めて話し合いをしたいといわれました。
遺産は自宅と小額の郵便貯金だけです。死亡保険金は相続財産となるのでしょうか。
保険証書面での契約者、被保険者は夫、受取人は私になっております。
回答
この生命保険金は、保険証書面に記載された「受取人」であるあなたの固有の財産であり
相続財産とはならないというのが、定説です(最高裁判例昭和40.2.2)。
生命保険金が相続財産になるかどうかは、その保険金の受取人が誰かによって違います。
受取人が被相続人(保険契約者、被保険者の場合)であれば、相続財産に含まれます。
この場合は、被相続人の相続人全員が受取人の地位を取得するからです。
受取人が被相続人(保険契約者、被保険者の場合)でない場合は、
その受取人が取得した死亡保険金はその人の固有財産となり、相続財産には含まれません(前記)。
質問のケースの場合
妻が保険金の受取人と指定されていますので、
このような生命保険金は妻の固有財産となり、相続財産に含まれないとするのが一般的です。
さらに、「全ての財産を妻に相続させる」という遺言書があれば、
兄弟姉妹には遺留分がないので、亡夫の弟は相続分を請求することができません。
ワンポイント
平成22年4月1日施行の「保険法」で
保険契約者は遺言で保険金受取人の変更が可能であることが規定されました。
従前は、学説や下級審の判例などで変更も可能であると言われていましたが、
法律に明確な規定はありませんでした。
保険金受取人変更の遺言を見つけたら、直ちに保険会社に連絡してください。
そうでないと、保険会社が変更前の受取人に支払っても有効な支払いとみなされます。
なお、保険金を受け取る権利は保険金受取人固有の権利であることになんら変わりありません。