Column/コラム

年末年始の出勤は割増賃金が必要?休暇前の労務チェックポイント

年末年始の出勤は割増賃金が必要?休暇前の労務チェックポイント

年末年始の出勤は割増賃金が必要?休暇前の労務チェックポイント

おはようございます。

セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。


今週も労務に関する最新情報、お役立ち情報、事業主の皆様への注意点をお届けします。


さて、いよいよ今年も残り2週間となりました。


前回のコラムでは忘年会のトラブル対策についてお話ししましたが、今回は目前に迫った「年末年始休暇」に関する労務管理のポイントについて解説します。


「年末年始は当然休み」という感覚が一般的ですが、労務管理上はいくつか注意すべき点があります。


トラブルを防ぎ、気持ちよく新年を迎えるために、ぜひご確認ください。


1.年末年始は「法定休日」ではありません


実は、労働基準法において「年末年始を休日にしなければならない」という決まりはありません。


労基法が定めているのは「週1回」または「4週4回」の休日(法定休日)のみです。


したがって、就業規則などで「12月30日から1月3日を休日とする」と定めて初めて、その会社の休日(所定休日)となります。


もし、就業規則に年末年始の規定がなく、その日が通常の出勤日である場合、会社が休みになれば「会社都合の休業」となり、原則として平均賃金の6割以上の休業手当が必要になる可能性があります。


改めて、自社の就業規則やカレンダーがどのように設定されているか確認しましょう。


2.年末年始に出勤した場合の賃金は?


「お正月に働いてもらったから、割増賃金を払わないといけない」と思われている経営者様も多いですが、法的な扱いは以下の通りです。


法定休日に出勤した場合: 週1回の法定休日(例:日曜日など)と重なる日に出勤した場合は、35%増の休日割増賃金が必要です。


所定休日に出勤した場合: 会社が独自に定めた休日(法定外休日)に出勤した場合は、週の労働時間が40時間を超えない限り、原則として割増賃金は不要です(通常の時給等の支払いで可)。ただし、週40時間を超える場合は25%増の時間外割増賃金が必要です。


もちろん、会社の規定で「年末年始手当」などを設けることは自由ですので、従業員のモチベーションアップのために特別手当を支給する企業様も多くいらっしゃいます。


3.有給休暇の「計画的付与」を活用していますか?


「年末年始の休みを長くしてあげたいが、公休日数を増やすのは難しい…」


そのような場合に活用できるのが、年次有給休暇の「計画的付与」制度です。


これは、労使協定を結ぶことで、年次有給休暇のうち5日を超える分について、会社が計画的に休暇日を割り振ることができる制度です。


この制度を使って年末年始の前後に有給休暇を組み込み、大型連休にすることも可能です。


【注意点】

•就業規則への記載と労使協定の締結が必要です。

•従業員が自由に使える有給休暇を「5日」残しておく必要があります。


最後に


12月は、4月入社の新入社員や、年度替わりで付与された有給休暇の消化状況を確認するのにも良いタイミングです。 「年5日の有給休暇取得義務」が守られているか、年末のこの時期に今一度チェックをお願いいたします。


就業規則の変更や、計画的付与の導入に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。