やっぱり何もしないのが大正解か

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。
それでは、第五百二十三回目。
テーマは、「やっぱり何もしないのが大正解か」です。
令和6年1月から本格的にスタートした電子取引のデータ保存の義務化。
義務化と言いつつ、「相当の理由」があって対応が難しければ、例外的な処理ができます。
具体的には、相当の理由がある場合、プリントアウトした紙を保存していれば、電子データを検索できるような措置を施すことなく、そのままの状態で電子保存するだけで問題ないとされています。
このため、負担がかかる訳ではありませんが、この「相当の理由」を満たしているかどうか、その判断が問題になると言われていました。
この点、調査官が本気でこの「相当の理由」をチェックすることはないと考えています。
調査官にとっては、電子より紙の方が、税務調査においては都合がいいからです。
変に電子取引のデータ保存の義務化に対応する努力をして、「もう少し努力すれば義務化に対応できたのだから「相当の理由」を認めない」と調査官からケチつけられるリスクがあります。
このため、全く努力せず、マンパワーや資金的にそもそも無理なので「相当の理由」がある、と主張した方が得と言えます。
実際、私の考えは正しいようで、とある税務雑誌に、電子取引のデータ保存の義務化に対する税務当局の調査方針が書かれていました。
調査官は細かく「相当の理由」の有無をチェックしないと解説されています。
ただし、調査官としては、「「相当の理由」はありませんが、重加算税を認めてくれれば、今回は大目に見ます」といった、税務調査の交渉材料で使うことはよくあります。
このため、義務化と言いつつ、特別な対応を何らしないことがやはり正解です。
しかし、この義務化がスタートする前は、テレビで会計ソフトベンダーのCMがたくさん流れたり、税理士youtuberが早く対応しないとまずいと声高に叫んだりしていました。
自分たちの商売にこの義務化を活かしたかったのでしょうが、特別な対応をしないことが正しいので、誤った情報を善良な日本国民に拡散していたことになります。
そもそも、改ざん防止措置や検索可能な措置を施さずに電子取引のデータを保存できる、といった今回の特例的な仕組みは大問題です。
なぜなら、データの改ざんを許すことになるからです。こんなものは税法上存在してはいけない規定なのです。
税務当局も、「相当の理由」をチェックしないという対応をする訳ですから、電子保存に係る税制はやはり課題が多すぎると言えます。
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