Column/コラム

施行1年!御社の「フリーランス新法」対応は本当に大丈夫ですか?

施行1年!御社の「フリーランス新法」対応は本当に大丈夫ですか?

施行1年!御社の「フリーランス新法」対応は本当に大丈夫ですか?

おはようございます。

セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。


私からは、労務に関する最新情報やお役立ち情報、事業主の皆様に注意していただきたいことなどをお届けします。


今回は「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス新法)の施行から1 年が経過した今、企業の皆様の対応を再チェックいただくため、重要なポイントを解説します。


この法律は、個人であるフリーランスと組織である発注事業者の間の格差に着目し、フリーランスが安心して働ける環境を整備するために制定されました。


全ての事業者が対象であり、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2 つの観点から、発注事業者が守るべき義務と禁止行為が定められています。


法令遵守は不可欠であり、特に罰則の対象となる重要義務について、運用状況を確認してください。


1 . 最重要義務の再確認:取引条件の明示と報酬の期日払い
この法律で最も基本となる義務です。
取引条件の明示義務: フリーランスに業務を委託した場合は、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法により明示しなければなりません。
口頭での約束( 電話など) は認められません。


【チェックポイント】
「直ちに」書面等を送付していますか?
明示すべき事項には、発注事業者とフリーランスの名称、業務委託をした日、給付の内容、給付を受領する期日・場所、報酬の額・支払期日などが含まれます。


・ 報酬の期日払い義務: 報酬の支払期日は、発注事業者が給付を受領した日から起算して6 0 日以内のできる限り短い期間内で定め、その日までに報酬を支払わなければなりません。


【チェックポイント】
支払い期日が6 0 日を超えていませんか?
また、「〇日まで」や「〇日以内」といった具体的な日を特定できない定め方は認められません。


2 . 忘れがちな体制整備義務:ハラスメント対策と募集情報の表示
罰則の対象となる義務には、体制整備が求められるものがあります。


・ ハラスメント対策に係る体制整備義務:ハラスメントによりフリーランスの就業環境が害されないよう、相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければなりません。


措置には、相談窓口の設置・周知、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発などが含まれます。


【チェックポイント】
フリーランス向けの相談窓口を設置し、その連絡先を周知していますか?


・ 募集情報の的確表示義務:広告等によりフリーランスの募集情報を提供する際は、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。


以下の6 情報を欠いた表示は「誤解を生じさせる表示」に該当し、法令違反となります。
1 . 氏名( 名称)
2 . 住所( 所在地)( ビル名、階数、部屋番号まで必要)
3 . 連絡先
4 . 業務の内容
5 . 業務に従事する場所
6 . 報酬


【チェックポイント】
募集広告自体に6 情報をすべて明記していますか?


3 . 1 か月以上の継続的業務委託における禁止行為フリーランスに1 か月以上の業務委託を行う
発注事業者には、7 つの禁止行為が課されています。フリーランスの了解や合意があっても違反となります。


・ 報酬の減額の禁止:フリーランスに責任がないのに、業務委託時に定めた報酬を後から減らして支払うこと( 協賛金の徴収、振込手数料の差し引きも含む)。
・ 買いたたきの禁止:通常支払われる対価に比べ著しく低い報酬を不当に定めること。


これらの義務や禁止行為に違反した場合、行政機関による指導・助言、勧告が行われ、勧告に従わない場合は命令・公表の対象となり、命令違反には5 0 万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
弊社では本法律への対応に関するご相談も承っております。