2025年(令和7年)に改正された公益通報者保護法

おはようございます。
セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。
私たちからは、労務に関する最新情報やお役立ち情報、事業主の皆様に注意していただきたいことなどをお届けします。
今回は、2025年(令和7年)に改正された公益通報者保護法について解説します。
今回の改正は、事業者にとって非常に重要な内容となっています。
内容を理解し、企業運営にお役立てください。
公益通報者保護法とは…
公益通報者保護法は、事業者の不正を内部から通報した人を守るための法律です。
この法律は、通報者が解雇や減給といった不当な扱いを受けることを禁止し国民の生命、身体、財産その他の利益の保護を図ることで、国民生活の安定と社会経済の健全な発展に資することを目的としています。
この法律で保護される「公益通報」は、労働者や役員などが、勤務先での犯罪行為や過料の対象となる不正行為について通報することです。
ただし、法人税法に違反する脱税行為など、法律に違反する行為の対象であっても別表に挙げられていないものは通報対象事実に含まれません。
2025年(令和7年)改正のポイント
2025年6月11日に公布された改正法では、通報者保護と事業者の体制整備をさらに強化するための措置が講じられました。
(この法律は、公布の日から起算して1年6カ月を超えない範囲内において政令で定める日に施行されます。)
特に注目すべきは、以下の3点です。
1.罰則の新設
公益通報を理由とした解雇や懲戒処分を行った者に対して、6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が新たに設けられました。
また、法人に対しては3,000万円以下の罰金も新設されています。
また、従業員数が301人以上の事業者には、公益通報に対応するための担当者(公益通報対応業務従事者)を指定することが義務付けられています。
この義務を履行させるため、消費者庁長官の立入検査権限が新設され、検査を拒否したり、行政からの命令に違反したりした場合にも刑事罰が科されます。
2.通報者保護の範囲拡大
これまで保護の対象となっていなかった、業務委託関係にあるフリーランスも保護の対象に追加されました。
これにより、公益通報を理由に業務委託契約を解除するなど、不利益な取り扱いをすることが禁止されます。
3.体制整備義務の強化
従業員数に関わらず、すべての事業者は公益通報の窓口や制度について、労働者への周知義務が明確にされました。
さらに、事業者に対しては、通報を妨害する行為や、通報者を特定しようとする行為が禁止されました。
今回の法改正は、企業にとってのコンプライアンス遵守を一層厳しく求めるものです。
実務上の具体的な対応は業態や会社規模等によって異なりますので条文上では定められていません。
内閣総理大臣の指針その解説が消費者庁のWEBサイトから見ることもできますのでご参照の上、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。