税理士の承諾にも要注意

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。
それでは、第五百十回目。
テーマは、「税理士の承諾にも要注意」です。
税務調査で最も重要な用語の一つに「承諾」が挙げられます。
税務調査は犯罪捜査ではなく、納税者の同意を前提にした任意調査です。
しかし、任意である以上納税者から「承諾」を貰えば、調査官は基本的にどのような調査をしても問題ないことになります。
この点、国税組織も十分に理解しています。
具体的には、逐一納税者から承諾を取りながら税務調査を行うこととし、若しくは(無言の圧力をかけて)納税者に承諾をさせた上で税務調査を進めています。
しかし、この承諾は単に納税者だけではなく、税理士やその税理士の事務所の職員の承諾もこれに含まれるとした事例があります。
この事例では、税務署に帳簿書類等を預ける「留置き」の承諾が問題になりました。
留置きは必ず承諾が必要な手続きです。
裁判所は納税者から委任を受けた税理士が雇用している、その税理士の事務所の職員から留置きの承諾を貰っていたため、税務当局が留置きをしても違法性はないと判断されています。
税務署は承諾を受ければ、自由に税務調査を進めることができるため要注意であることは税務調査のセミナーで必ず指摘することの一つです。
しかし、実際の税務調査実務では、税務調査を受ける納税者より、税理士の承諾が問題になることが圧倒的に多いです。
税務調査は税理士に委任できますので、納税者が立ち会わないことが多いです。
加えて、税理士は税務署とトラブルになりたくないため、調査官の要望を承諾することが多いからです。
後者について補足しますと、税理士は税務署から資格を貰っていますが、税理士の懲戒事由の一つに「調査非協力」があります。
程度の問題はありますが、税務署の意向を承諾しないと、調査非協力による懲戒処分を受け免許を失うという恐怖が税理士にはあります。
現に、かく言う私も、この前の税務調査で資料調査課の調査官から、脅しを受けました。
具体的には、予定が合わないため調査を先延ばしにしたり、資料の提出を先延ばしにしたりしたいと要望しました時の話。
調査官は、「それは税理士の品位としては問題があるのでは?」という言葉を投げかけました。
私は別にして、税務署の内情を知らない税理士がこのようなことを言われると、「懲戒処分を受けて資格を失うことになる!」と非常に怖い思いをします。
それに止まらず、後輩である税務署にいい顔をしたいと考える国税OB税理士の中には、税者に「調査が早く終わるからもっと協力(承諾)しよう」といった的外れな指導をする方もいます。
いずれにしても、税理士の承諾も税務調査の承諾とされますので、税理士は今まで以上に注意して税務調査に臨まなければなりません。
税理士は納税者を守るために、税務調査の根拠法である質問検査権を徹底的に研究した上で、毅然とした態度で税務調査と闘い、不必要な承諾をしないように注意する必要があります。
追伸、
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィールは以下のサイトからどうぞ!!
↓↓↓
Facebook:https://www.facebook.com/motokokuzei
Twitter:@yo_mazs