【告白】実は失敗しました。ウチが自計化推進が難しいと感じた「3つの理由」

「顧問先に自計化を進めましょう」
これは、多くの会計事務所が一度は取り組もうとするテーマではないでしょうか。入力作業の負担が減り、リアルタイムな数字が把握でき、経営改善にも役立つ…まさに理想的な形です。
もちろん、私たちセブンセンスでも例にもれず、顧問先の自計化を積極的に推進してきました。「せっかくならば正しい数値をスピーディに把握し、経営支援へ活かせる体制を整えたい」
そのような想いで、顧問先への導入を一気に進めました。
しかし、実際に現場で取り組んでみると、思っていた以上に様々な壁にぶつかりました。
なぜ思った通りにいかなかったのか?そして、当時どのように取り組み、何が壁となったのか?
今回は、自計化推進に携わるペーパーレスコンサルタントでもあるマネージャー 島口に、試行錯誤のプロセスを振り返ってもらいました。
🔍 自計化・記帳代行・業務フロー・ペーパーレス・非担当
…これらのワードに「おっ‼👀」となった方、必ず最後までご覧ください!!!

2010年アイクスグループ (現 セブンセンスグループ) 入社。 システム部門で採用され、社内サポートおよび年末調整や確定申告などの季節業務の企画・運営を担当。
2015年より、会計事務所向けにペーパーレス化の仕組みを指南するPSL(ペーパーストックレス)コンサルティングに携わる。
現在は、会計事務所専任コンサルタントとしてPSL導入支援やDocuWorksのセミナー講師、kintone管理者サポートを行っている。
そもそも顧問先の「自計化」を目指す理由とは?
ー まずは、自計化のメリットについて改めて整理してみたいと思います。
会計事務所として、自計化を進めることにどんな意義があると感じていましたか?
会計事務所側の視点で言えば、やはり大きいのは「リアルタイムで正しい数字が溜まっていくこと」です。毎月しっかりデータが積み上がれば、記帳業務に対する業務負担が軽減されますし、「数字を使った経営支援」に時間を使えるようになります。本来の税理士の付加価値はそこにありますから、我々の立場からしても非常に理想的な形です。
ー より本質的なサポートへシフトできるということですね。
まさにそこが大きいです。
記帳代行は顧問先側も「資料だけ渡しておけばいい」「結果だけ見ればいい」というスタンスになってしまうケースも少なくありませんが、ご自身で処理をいただくと「この費用は何だったんだろう」「この月は売上が落ちたけどなぜだろう?」と、自然と考えていただけるようになります。そうすることで、私たち会計事務所側もよりタイムリーに実態に沿ったご提案ができるようになります。
ー 双方にとって大きなメリットになるということですね。
そうですね。会計事務所としては、顧問先がしっかり数字を把握していると、より踏み込んだアドバイスができますし、逆に顧問先も「今、こんな状態なんですけど…」と相談しやすくなる。
なので、自計化は「誰かの作業負担を減らす」ということではなくて、「会計事務所と顧問先、双方の関係を前向きに変える取り組み」だと考えています。
また、今後の会計事務所は、今以上に経営コンサルティングの領域に踏み込んでいくべきだと思っています。そのためにも、まずは正しい数値が早く揃う仕組み作りが重要になります。だからこそ、私たちも「自計化」を積極的に推進してきたわけです。
自計化推進が難しいと感じた3つの理由
ー では実際に、自計化の取り組みを始めた当初、どのように顧問先に提案を進めたのでしょうか?
「これから自計化を推進しよう!」というような大きなプロジェクト的な動きがあったわけではなく、常に契約の段階で自計化のご提案を行っていました。
ただし、まだ「自分で入力する」ということに「手間が増えそう」と抵抗感を感じる顧問先が多いのが現状です。今でこそ、クラウドの会計ソフトの普及で自計化を身近に感じてくださる顧問先も増えてきましたが、様々な課題から「自計化推進は難しい」という結論に至っています。今回は特に大きかった3つの課題を挙げます。
① 経理担当者のリソース不足
ー まず1つ目は「経理人材のリソース不足」ということですが…
これは本当に大きかったですね。
小規模な顧問先ですと、専任の経理担当者がおらず、社長ご自身が経理を兼務されていることが多くあります。また、仮に経理担当者が在籍していても、既存業務が優先になるので「仕訳入力にしっかり時間を取る」というのがなかなか難しい状況でした。こうした先で自計化を導入してくださる場合、最初こそ前向きに取り組んでくださっても、私たちがフィードバックを返すうちに「そこまで細かく対応できない」「本業が忙しくて手が回らない」という壁にぶつかってしまうことがあります。
ー 最初は前向きにご対応いただいても、だんだんと手が止まってしまう…?
そうです。最初の1~2ヶ月は入力いただけることが多いですが、だんだんと忙しさでペースが落ちてきて、気づけば担当者が「訪問して入力する」という、本末転倒な状態になってしまうこともありました。
② 顧問先メリットの伝わりづらさ
ー 2つ目は「顧問先にとってのメリットが伝わらなかった」という点です。
これは私たちの力不足でもありますが、自計化のメリットを十分に伝えきれなかったということです。一部の顧問先では「自計化ってそちら(会計事務所)の業務をラクにするためでしょ?」と受け取られてしまうこともあったようです。
序盤でお話したとおり自計化には「顧問先自身がリアルタイムに数字を把握することで、経営判断がしやすくなる」という大きなメリットがありますが、それが伝わらないと「なぜ自分たちが入力しないといけないの?」となってしまいます。
③ 変化対応・リテラシーの壁
ー 3つ目は「変化への対応やリテラシーの壁」です。これはどのようなことでしょうか?
これは本当に避けられない課題です。たとえば消費税の改正、インボイス制度の導入、会計ソフトの仕様変更など…。毎年のように会計ルールや操作方法が変わっていくなかで、顧問先がついていけなくなるケースが非常に多くあります。そうすると入力ミスが増えて、結局こちらで全部修正する、ということが発生してしまいます。
ー 「自計化すれば双方に効率化が図れる」と考えたが、逆に作業量が増えるという結果になってしまうのですね。
まさにそうです。自計化に前向きであった顧問先ほど、システムや制度変更に振り回されてしまって、途中で挫折してしまうケースも多く、非常に悔しい結果になりました。
「自計化」推進の現在地。カギは「記帳代行」の見直しとペーパーレス?!
ー こうして振り返ると、実際に取り組む中でさまざまな課題が見えてきたわけですね。
そうですね。やはり、やってみないと見えてこない課題が本当にたくさんありました。当初は「自計化を進めれば、双方に理想的な状態になる」と信じて進めていましたが、想定外の課題に次々と直面しました。
ー そこで現在の「記帳代行」型のビジネスモデルに切り替えていったということですね。
明確に「この日を境に切り替えた」という分岐点があったわけではありませんが、グループ内で「業務の標準化と情報共有」をテーマに業務環境を見直していた時期に、自計化から記帳代行をメインにすることになりました。
ー 業務環境の見直しにおいて、自計化のどのような点が問題になったのでしょうか?
まず、顧問先が使用する会計ソフトはバラバラですから、所内の業務環境に合わせるためにコンバート作業を行う必要があります。これは顧問先がしっかり自計化できていたとしても、それが事務所側の効率化や標準化に繋がらないという矛盾に繋がります。
また、顧問先からいただくデータに個別事情があるケースも多く、イレギュラーなルートが増えてしまうことが問題に挙がりました。
ー たしかに、業務環境を整える上では大きなネックになりそうですね。
業務の標準化を進めるという意味でも「記帳代行を前提とした体制に切り替える」ことに舵を切りました。もちろん、自計化ができる顧問先には引き続きそのままお願いしていますし、顧問先からご希望があった場合はご案内をしていますが、メインは記帳代行からお引き受けする形になっています。
ー なるほど。そこにおいては問題がなかったのでしょうか?
記帳代行にすると当然ながら、私たち会計事務所としては、コスト増・リソース不足という新たな課題も出てきます。そこを乗り越える手段として長年取り組んできたのが、ペーパーストックレスと製販分離による分業体制なんです。
例えば、製販分離を進めることで、記帳代行をある程度「量産できる体制」を整えることができました。つまり、記帳業務が増えても業務量が膨張してパンクするということが起きづらくなったんです。ツールの活用も含めて、効率的に処理できる仕組みを作ってきた結果、記帳代行の需要に対応できるようになりました。ペーパーストックレスも同様に、紙資料が多くなり記帳までの工数が増えてしまう記帳代行のデメリットを解消することに大きく貢献しています。
ー これらの取り組みは、他の会計事務所にとって参考になりそうですね。
そうですね。私たちも最初は手探りで始めましたが、今ではこうした体制がセブンセンスの地盤になってくれています。こうした取り組みは、記帳代行のビジネスモデルに対して、悩みを持つ会計事務所の方にとって参考になる部分があるのではないかと考えています。
記帳代行は「手間がかかるだけ」だと思っていませんか?
実は、“仕組み”と“環境”を整えれば、しっかり利益を出せる業務に変わります。
セブンセンスグループでは、長年にわたり取り組んできたペーパーレス化・分業体制の構築・業務の見える化などを通じて、記帳代行を安定した収益源として運用できる体制を整えてきました。
クラウドやツールの活用、自社開発システムの導入などにより、場所にとらわれずに高品質な記帳代行を実現しています。
さて、セブンセンスグループでは、こうした取り組みのリアルを、実際に〈見て・聞いて・学べる〉機会として、事務所見学会を開催いたします。
今回の見学会では「記帳代行で利益を出す会計事務所のつくり方」をテーマに、実務の裏側・ツール活用・マネジメント方法まで、すべてを現場でご覧いただけます。
本インタビューに登場した会計事務所向けにペーパーレス化を支援するコンサルタントの島口、そしてセブンセンス株式会社 代表の小長谷も登壇し、実務を支えるリアルなノウハウをたっぷりお話しします!



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