転リースの貸手側の会計処理
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計、経営、財務、税
務、監査、内部統制関連の基礎・Tips・ニ
ュース等をお伝えします。
167回目の今回は、転リースの会計処理につ
いてお伝えします。
そもそも転リースとはどのようなものなので
しょうか。
主要な登場人物である「レッサー」と「レッ
シー」について説明します。レッサーとは、
資産を貸し出す側の事を指し、一方レッシー
は資産を借りる側を指します。
そして転リースとは、元のレッシー(資産を
レンタルする側)がその資産を他の会社にさ
らにリースする(レッサーとなる)ことを指
します。
例えば、会社Aがリース会社から車両をリー
スし(レッシーとなる)、その後会社Aがそ
れを会社Bにリースする(レッサーとなる)
場合、これが転リースの一例です。
会社Bは、この場合の転リース契約のレッ
シーとなります。
転リース会社(この例でいう会社A)の会計
処理は、元のリース契約と新たなリース契約
の双方に対応する必要があります。
A社はレッシーでもありレッサーでもあるた
め、その会計処理は一般的なリースのそれと
は異なります。
例えば、A社が500万円の車両をリースし(所
有権移転外ファイナンスリースと仮定)、毎
月10万円のリース料をリース会社に支払い、
会社Bから毎月15万円のリース料を受け取る
とします。
この場合、A社は次のような仕訳を行う事と
なります。
<リース開始時>
リース投資資産500万円/リース債務500万円
リース開始時には、利息相当額控除後の金額
を「リース投資資産」「リース債務」の勘定
科目で処理することになります。
この際、利息相当額控除前の金額で計上する
こともできます。
<リース料支払時>
リース料 9万円 / 現金 10万円
預り金 1万円
(元のリース会社への支払い、1万円は利息
とする)
転リース取引の会計処理は、支払ったリース
料や受け取ったリース料を費用や収益に計上
しません。そのため、支払利息1万円につい
ては「預り金」で処理します。
<リース料受取時>
現金 15万円 / リース投資資産 13万円
/ 預り金 1万円
/ 転リース料差益 1万円
(会社Bからの受取り)
リース会社に支払うリース債務相当分を、
「リース投資資産」勘定で処理します。
利息部分については、支払時の預り金の反対
仕訳になります。
転リース取引では、支払ったリース料と受け
取ったリース料の差額のみが収益となり、
「転リース料差益」」などの科目で計上する
こととなります。
このように転リース取引は通常のリース取引
とは異なる会計処理が必要となる点に注意が
必要となります。