Column/コラム

緊急事態宣言が無意味なことは国税組織が証明している

緊急事態宣言が無意味なことは国税組織が証明している

緊急事態宣言が無意味なことは国税組織が証明している

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百八十八回目。

テーマは、

「緊急事態宣言が無意味なことは国税組織が証明している」

です。

大分落ち着いてきましたが、ここ数年、
コロナ禍による緊急事態宣言が継続して出され
私たちの生活に大きな影響が与えられていました。

振り返りますと、感染者が増えれば、
知能指数が高くない国としては「自粛」という
方針しか基本的には出せないようでしたが、
自粛しても思ったように感染者が減らなかった
こともあってか、振り返れば国が期待するような
人流の減少はなく、買物客や通勤する
サラリーマン多く見られたという印象があります。

実際のところ、感染が増えても「緊急事態」とは
思っていなかった方も多いと思います。これは
国税組織も同様で、税務調査の相談事例中
には、国税も緊急事態宣言について甘く
考えていると思われる事例もありました。

具体的な事実関係を申しますと、他県に
関与先がある税理士先生が、その他県の
クライアントの税務調査を予告されたものの、
日程調整した後になって、緊急事態宣言等で
県外への異動について自粛要請が出された時の話。

要請ですが県外に移動できない、という合理的な
理由がありますので、税務調査の延長を要請した
ものの、その要請について国税は受け付けなかった模様です。

法律上、税務調査は合理的な理由があれば
リスケできるとされていますが、国税的には
このようなケースは合理的ではない、という
ことなのでしょう。

実際のところ、税務雑誌などによると、
コロナ禍の税務調査については、

納税者の承諾を得られた場合に限り、
慎重に税務調査を行うべきである

といった指示文書が国税庁から出ているはず
なのに、何故税務署レベルではこのような融通が
利かない対応なのか全く意味不明です。

おそらく、国税庁の指示など見てないので、
税務調査をする調査官の肌感覚として、国が
コロナに対して出す緊急事態宣言は
「緊急事態ではない」と思っているため、
税務調査のリスケを認めないと言ったのでしょう。

税務職員も国家公務員ですから、国の指示に
従う必要があります。となると、コロナ禍という
特殊な理由があり、県外の異動も自粛するよう
呼びかけられた以上、当然ながらこのような
事案においては、税務調査の延長を認めるべきです。

しかし、そもそも国税庁の指示文書などを現場の
税務署の国税調査官は読んでいませんので、
緊急事態といいながら、全く緊急感がない
自分の周囲の現状と、税務調査が円滑に出来ず
仕事がなくて困っている現状を踏まえた上で、
自己の判断で税務調査の延長を認めないとしたのでしょう。

こういう訳で、国の機関である税務署も、
コロナ禍について、そこまで厳格に
とらえていなかったと解されます。
にもかかわらず、有効な対策がないからか、
感染者が増えると即政治は緊急事態宣言、
が繰り返されてきました。

結果として、一向にコロナ禍が収まらず、
法律に則った十分な税務調査もできず国税も
不満が残った。
このような無駄な時間がコロナ禍における
税務調査ではなかったか。そんな気がしてなりません。