会計と税務における取り扱いの主な違い
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグループ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えします。
118回目の今回は会計と税務で扱いの異なる主な勘定についてお伝えします。
過去の税効果会計の回でも触れましたが、企業の数値には企業会計基準に従った数値(いわゆる「会計」)と、
税法に従った数値(いわゆる「税務」)の二つの数値があります。
会計の目的は一定期間の利益を計算し、投資家等の企業の利害関係者に一定期間の企業活動の成績を報告することが主な目的となります。
一方で税務の目的は一定期間の課税所得を計算し、課税所得を元に納付すべき税金の計算をすることが主な目的となります。
そのため、両者はおおまかには似たような計算となりますが、目的が異なることから細かい違いが多々存在することとなります。
イメージ的には、会計は企業の活動をいかに数値で表すか、という事に主眼が置かれているため、見積の要素や、現在わかっている将来要素を現在の数値に反映させる傾向にあります。
例えば、将来支払が予定されている賞与金額を見積って引当計上する賞与引当金や、退職金支払額を見積計上する退職給付引当金等、引当金の4要件を満たしているものについては会計上引当金を見積計上する必要があります。
一方で、税務は税金を計算し徴収することが目的であるため、見積の要素等を数値に反映させることは少ないと言えます。
そのため、見積の要素が強い引当金については貸倒引当金や返品調整引当金(経過措置)が認められるのみとなっています。
しかも、税務上の計上額は一定の計算方法が規定されており、見積の要素は可能な限り排除されています。
また、税法は企業の営業活動以外での数値の操作をしづらい設計となっています。
例えば役員賞与を考えてみると、会計上は役員に実際に支払ったのであれば、いくらでも費用として計上出来ます(正確には費用計上しなければなりません)。
一方で、税務上は、自由に役員報酬を変更したりすることは出来ません。勝手な変更は税務上の損金に算入することは出来ず、前もって事前確定届出給与の届け出を行わなければ損金算入出来ない仕組みとなっています。
他にも代表的な会計と税務の取り扱いが異なるものとしては、
・減損損失
・減価償却費
・交際費
・受取配当金
・寄付金
・資産除去債務
・各種引当金
などがあります。
このように、会計と税務はその目的を異にする事から、細かい部分でルールが異なり、結果として最終数値が異なってきます。
新聞等でニュースになる際は、会計数値の事が主題となっていることが多いので、その点に留意する必要があると言えます。