資金繰りの安全性とは

金融機関など債権者の立場で企業を見た場合、その債権が安全に回収されることが重要なポイントとなるため、場合によっては収益性以上に「安全性」が重視される事もあります。将来の成長性が高くとも、あるいは、一応の収益はあがっていても資金繰りが破綻し、手形不渡りによる倒産となっては目も当てられないからです。

この資金繰りの「安全性」は、自己資本において利益が蓄積される事により確保されます。そのため、利益こそ根源的資金源泉であるということが言え、また「収益性」が「安全性」を支える関係にあるといえます。つまり、資金繰り、支払能力は、長期的な安全性に支えられ、その源泉は継続した利益によるものというように理解してください。

安全性・収益性・成長性・生産性の関係

財務分析において企業は「利益をどの程度あげているか」で評価されるため、「収益性」は重要性の高い指標と言えます。利益を長期的かつ継続的に獲得していれば、資本の充実を通じて安全性も高まります。そのため、収益力は長期的継続的に獲得され、またその獲得能力についても成長が見込めることが望ましいわけです。

一方、売上高などの収益が成長していたとしても、これを利益の成長へとつなげるためには、損益構造が効率的である必要があり、企業内部における「生産性」の高さが必要となります。以上より、財務分析においては「収益性」「安全性」「成長性」「生産性」という4つの視点が重要であり、それぞれの位置づけと相互関係を理解する必要があります。

「安全性」の判断方法

「安全性」には短期的安全性と長期的安全性があり、既述の通り、長期的安全性は収益性に支えられたものであるということは理解されたかと思います。安全性の判断は、一義的には支払能力の測定であり、運転資本の場合は「短期的な資金繰りの良否」「短期的な債務返済能力の有無」がポイントになります。そこで、貸借対照表を利用した流動比率分析などの安全性分析が行われます。

これに加え、近年は動態的流動性分析として、「経常収支比率」が重視されています。一方、長期的な債務返済能力については、長期的な収益力が問題となるため、損益計算書を用いて収益性を前提とした長期償還能力の算定をすることになります。

ポイント

短期的支払能力と長期的支払能力を分け、それぞれについて正しく評価する必要があります。短期的支払能力は、計数的にも感覚的にも比較的捉えやすいですが、長期的支払能力は、長期的な見通しが実現するかどうかについて「ヒト」「モノ」などの定性的視点と定量的視点の双方を鑑みて判断しなければなりません。