資金繰りの「余裕」「逼迫」の原因

企業の資金繰りに余裕があるか逼迫しているのかについては、いろいろな原因がありますが、資金繰りに余裕がある要因については、概ね以下のケースが考えられます。

1、基礎的な財務バランスが良好で、正味運転資本(資本勘定+固定負債-固定資産)が多く、手許流動性も高い。→「固定長期適合率」が良い

2、好収益が続き、キャッシュ・フローの流入が多く、内部留保の蓄積が進む。→「自己資本比率」上昇傾向

3、在庫、売上債権の回転期間が仕入債務の回転期間よりも短く、商売上の立替負担(収支ズレ)がマイナスとなっているような資金収支状態にある場合。→「総資本回転率」が良くなる

このように資産の回転率が良く必要運転資金が少なくてすみ、償却前利益等が順調であれば、経常収支比率等動態的流動性が良好となります。なお、次のような場合も資金繰りにゆとりが見られますが、注意が必要です。

4、1及び2のような基礎的条件はあまり良好とは言えないが、必要資金以上に借入を行い、手許にゆとりがある場合→過大借入、売上高対金融費用比率が上昇

取引先の資金のゆとりの原因を検討

1及び2は資金的なゆとりが理想的なレベルとなっているケースです。この場合、流動比率は高くなりますが、棚卸資産や売掛債権などの回収期間が長期化傾向にある場合には、資金流入が遅れ気味になり、帳簿上の数値より実際の余裕は発生しません。

そのため、「総資本回転率」の良否が重要となります。また、資金調達源の1つ長期借入金の返済負担が、キャッシュ・フローを中心とした返済能力の範囲に納まっていなければ、借入金の返済負担が資金圧迫要因となります。

3の場合は、回収、支払条件が有利だということで、

ア、この状態が安定し、永続する
イ、売上の低下がない
ウ資金的余裕の生じた際に手許資金を財テクなどに流用しない

という点について着目して見ておく必要があります。

4は通常の営業活動において資金的余裕が生じた訳ではなく、外部借入を利用した資金繰りの結果、余裕が生じているという事になります。企業の資金繰りに余裕があるという場合でも、その原因が何であるかについては十分に評価する必要があります。

基本的には、基礎的財務バランスが良く、毎期利益を積み上げて年々充実していく状態が最も望ましいと言えます。

ポイント

資金繰りに余裕がある、あるいは逼迫している原因がどこにあるのか、財務的、計数的に捉える必要があります。また、それが一時的なものか、持続性のあるものかについて評価する必要があります。一過性の資金的余裕や逼迫によって与信判断をすれば、不良債権が発生したり、また逆に成長性のある取引先を失う原因となります。財務安全性の観点から、正味運転資本が多く好収益を確保していることが理想的。