60代・女性のご質問

夫が他界して遺産を相続することになりました。
相続人は私(妻)と息子の2人なので、相続税を払うことになりそうです。
相続税にはいろいろな税額控除があると聞きましたので、その内容を教えて下さい。

回答

相続税には次の6つの税額控除があります。
すなわち、税額控除が適用される場合は、算出された相続税の額からその分を控除することができます。

⑴贈与税額控除贈与税額控除とは、贈与税と相続税の二重課税を
防止するために設けられている規定です。

①相続または遺贈により財産を取得した人が、その相続開始前3年以内に被相続人から贈与により
取得した財産は相続税の対象として課税されます。
しかし、既に支払った贈与税については相続税から控除することができます。

②相続時精算課税制度を利用した場合に非課税枠(2,500万円)を超えて贈与を受けた分につき
支払った贈与税額についても同様です。
なお、この場合に納税すべき相続税額がなければ既に支払った贈与税額は還付されます。

なお、相続開始の年の贈与に関しては、贈与税ではなく相続税の対象になります。
これは、贈与税は暦年課税(1年単位の申告)のため、相続のあった年は贈与税の申告が
済んでいないためです。

⑵配偶者控除(配偶者の税額軽減)

相続または遺贈により財産を取得した人が被相続人の配偶者である場合、
配偶者が実際に取得した相続財産(正味の遺産額)が、次の金額のどちらか多い金額までは
配偶者に相続税はかかりません。

①1億6千万円
②配偶者の法定相続分相当額

なお、この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に
計算されることになっているため、相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに配偶者に
分割されていない財産は税額軽減の対象にならないので注意が必要です。

ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに
分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

⑶未成年者控除

相続または遺贈により財産を取得した人が未成年者(満20歳未満)の場合は、
その未成年者が20歳に達するまでの年数1年につき6万円が控除されます。

なお、20歳に達するまでの1年未満の端数は1年として計算します。
未成年者控除額=6万円×(20歳−相続開始時の年齢)
※平成27年1月1日以後の相続から、6万円が10万円に改正されます。

⑷障害者控除

相続または遺贈により財産を取得した人が障害者の場合には税額控除があります。

①法定相続人が一般障害者の場合には、対象者の年齢が満85歳になるまでの年数1年につき
6万円が控除されます。
一般障害者控除額=6万円×(85歳−相続開始時の年齢)
※平成27年1月1日以後の相続から、6万円が10万円に改正されます。

②特別障害者の場合には、対象者の年齢が満85歳になるまでの年数1年につき
12万円が控除されます。
特別障害者控除額=12万円×(85歳−相続開始時の年齢)
※平成27年1月1日以後の相続から、12万円が20万円に改正されます。
なお、85歳に達するまでの1年未満の端数は1年として計算します。

⑸相次相続控除

相次相続とは、相次いで相続が発生することをいいます。
すなわち、短期間に相次いで相続があった場合における相続税の過重負担を防ぐための
控除が設けられています。

具体的には、10年以内に2回以上の相続が発生した場合で、前後の相続のいずれにも
相続税が課せられた場合に、前の相続時に納付した相続税の一定割合が後の相続時の相続税額から
控除されます。

⑹外国税額控除

相続により取得した財産が国外(海外)にある場合、その財産について相続税に相当するものが
国外で課税されている場合は、国際的な二重課税を防止する観点から、国外で課された相続税に
相当する税額が控除されます。

ワンポイント

税額控除は相続税額そのものから差し引かれるため、減税(節税)効果が大きくなります。
見落としのないように十分に注意しましょう。

コラム……古代ローマと遺言

現代遺言法の源流は、古代ローマに発するといわれます。
紀元前5世紀頃のものとされる、古代ローマで初めて定められた成文法「12表法」には、
すでに遺言法が見えており、少なくとも紀元前200年頃には、遺言がローマ市民一般の
慣行となっていたようです。

初めは、大神官の召集によって開かれる民会において神官の面前で口述したものを審議決定する、
いわゆる民会遺言でした。
ユニチアニス帝のころ、遺言者本人が証人の立会いなしに自筆作成する遺言書を
保管の請願とともに帝に提出するか、または裁判所に登録して成立するものとなりました。
近代的な公正証書遺言、自筆証書遺言の方式の誕生です。