「相続」というと、「財産がないから関係ない」とか「金持ちのものでしょ」 とかいわれますが、相続は財産の有無には関係ありません。そんなときに、慌てず相続の手続きをするために必要な情報を紹介します。

相続とは?

相続とは、人の死亡によって、一定の人間がその死者の財産上の権利義務を一括して受け継ぐものです。相続する財産は、不動産や預貯金等のプラス財産だけでなく、借金や保証債務等のマイナス財産も含みます。

相続される死亡者を「被相続人」、相続により財産を受け継ぐ人を「相続人」 といいます。

相続の役割

相続は、3 つの役割を果たすといわれています。

残された家族の生活保障としての相続

現在の社会では、各人の生活はその人その人の稼ぎや蓄えによって支えなければなりません。

一般的には、夫(父)が稼ぎ、財産を蓄え、妻(母) は家事、育児に専念し、子は独立できるまで父母の養育を受けます。このような家族では、夫が死亡したら、夫の財産は妻や子に相続され、妻や子 の生活を保障することになります。

取引の安全を保証するものとしての相続

人の死亡によって、その人の財産上の権利義務が消滅してしまったので は、取引の安全が害されます。
夫が経営していた事業を妻や子がそのまま 引き継げば、取引の安全が保証されます。

相続人の潜在的持ち分としての相続

夫(父)の事業に妻子が協力していれば、夫名義の財産のなかには妻子 の寄与分が含まれていることになります。
このような貢献・寄与による潜 在的持ち分を現実化する役割を果たします。

相続手続きの流れ

期間 手続き
7 日以内 死亡届の提出
3 カ月以内 社会保険・年金関係の手続き
生命保険・損害保険の手続き
相続人の確定
相続放棄・限定承認
4 カ月以内 所得税の申告・納付
10 カ月以内 相続財産(遺産・債務)の調査・把握

遺産分割協議

相続税の申告・納付 

預貯金・有価証券などの換金・名義変更 

不動産の名義変更

7日以内にやること

死亡届の提出

死亡を知った日から 7 日以内に、市区町村長に「死亡診断書」を添えて「死亡届」を提出します。死亡地・住所地・本籍地いずれに届けても問題ありませんが本籍地以外へ届け出る場合は、2 通必要です。

また、死亡診断書は、埋葬許可書の申請や生命保険金の請求、遺族年金の請求、 有価証券の名義書き替えなどに必要になることもあるので、3 通程度はとっておくとよいでしょう。

火葬許可証の発行

多くの場合、葬祭会社が代行してくれますが、死亡届を提出した後に「火葬許可証」の発行も行いましょう。
死亡届を出さないと、火葬に必要な「火葬許可証」が発行されないので、 実際には死亡当日か翌日には出すことになります。そのため、役所では休日や夜間でも受け付けています。

また、代行会社が発行する際に、代行のための委任状が必要になるので事前に用意しておきましょう。

3ヶ月以内にやること

社会保険・年金関係の手続き

被相続人が年金を受給しているのであれば、住民票に記載している住所を管理している公的機関で受給停止の手続きをする必要があります。

厚生年金は10日以内・国民年金は14日以内に手続きを済ませましょう。
また、手続に必要なものは、年金証書・死亡診断書・戸籍謄本等です。

生命保険・損害保険社会保険の手続き

保険に加入していた場合は、死亡日から14日以内に契約の手続きをする必要があります。
その際の必要な書類は、世帯主変更届で市区町村役場で手続きしてくれます。

相続人の確定

相続が発生したとき、誰が相続人となるのかは民法で決められています。 この民法で定める相続人を法定相続人と言います。

民法の定める相続人は、 配偶者相続人と血族相続人の 2 本建てで構成されています。
配偶者は、血族相続人と同順位で常に相続人となります。法律上の夫 または妻に限り、内縁の夫や妻は相続人となりません。
血族では、子(孫)が実子、養子、嫡出子、非嫡出子の区別なく相続人となります。

相続放棄・限定承認

何もしなければ、債務の全てを当然に相続することになります。
これを防ぐには「相続放棄」の手続きを家庭裁判所に申し立てるとよいでしょう。

被相続人の死亡を知った日から 3 カ月以内に、家庭裁判所に「相続を放棄する」と申し立てますと、その相続については、始めから相続人とならなかったものとみなされます。

また、相続人が、相続は承認するが、債務の返済は相続によって得た財産の範囲内で義務を負うという「限定承認」という方法があります。
相続人が数人いる場合は、共同相続人全員で家庭裁判所に申し立てる必 要があります。したがって、相続人の 1 人が限定承認に参加しない場合は、 他の相続人は、相続放棄か単純承認しか方法はありません。

4ヶ月以内にやること

[所得税の申告・納付]
亡くなった方が個人事業主として事業を行っていた場合、相続人が代わりに確定申告をする必要があります。
年金収入のみの場合は、年金が400万円以下であれば、確定申告は不要です。

10ヶ月以内にやること

[相続財産(遺産・債務)の調査・把握]
相続財産の調査は、漏れなく正確に行う必要があります。
そのために原則、一つひとつの財産につき証拠書類をそろえて確認することになります。

自宅および貸地の調査の方法は、不動産の「登記簿謄本」をみて土地の面積はいくらある か、土地の所有者は父に登記されているか(共有となっていないか)、土 地には抵当権等が設定されていないか等をチェックします。
その次に「固定資産税評価証明書」を取り、自宅の土地・建物と貸地についての固定資産税評価証明書を市町 村役場で交付してもらいます。
登記簿謄本とともに、登記所で交付してもらい、所有土地のチェックを行った後で「路線価図」で土地の評価を行います。

遺産分割協議書の作成

「遺産分割」とは、被相続人の遺産を各相続人に分配し、各相続人の取 得分を各自それぞれに確定する手続きをいいます。 相続人全員が合意した内容を書面にします。これを「遺産分割協議書」 といいます。

遺産分割協議書の方式は、遺言と違って法律で特に規定していませんが、 相続人全員の合意と署名、捺印(実印)が必要です。

相続税の申告・納付

相続税は、死後から10ヶ月以内に申告・納付しなければいけません。
相続税の計算方法や相続人の人数や相続財産の金額、あるいは遺産の種類など に関係なく、一定の非課税枠が設けられている基礎控除を含め確認した上で申告・納付しましょう。

預貯金・有価証券などの換金・名義変更

取引金融機関に残高証明書を発行してもらいます。また、亡父の 預貯金の通帳、証書類を収集、調査します。

また、株式、社債、貸付信託等の有価証券は、その取引金融機関で残高証明書 (亡父の相続発生日現在)を発行してもらいます。

それらと、自宅あるいは亡父の取引銀行の貸金庫等に保管している株券、 預かり証、証書等の現物を確認します。

上場会社の株券は、平成 21 年 1 月 5 日に電子化が実施され、ペーパー の株券は廃止されました。振替機関が電子的に振替口座簿で残高記録を管 理しています。証券会社等に問い合わせてください。

不動産の名義変更

亡くなった方の名義で不動産を購入・契約している場合は、名義の変更が必要になります。
名義の変更には、登記申請書を作成し、法務局で登録免許税を支払うことで変更登記が完了します。

また、不動産以外にも株式・クレジットカード・公共料金など名義変更が必要なものもあるので、合わせて確認しましょう。

まとめ

人がなくなることで相続の問題は必ず発生します。
手続きを期限内に行わないと、様々なトラブルに発展する可能性もあります。

そんなときのために相続手続きの流れを参考にしてみてください。