50代・女性のご質問

私は3人姉妹の長女です。
10年前に父は脳梗塞で倒れ、寝たきりの生活になりました
(母は13年前に他界、その後父は一人暮らし)。

同居していた私は、勤めを辞めて父の看病にあたってきましたが、父は先月亡くなりました。
父の遺産は何もしてこなかった妹たちとも平等に分割するのでしょうか。
父は遺言を残していません。

回答

相続人の療養看護によって被相続人の財産の維持または増加という結果が生じた場合、
相続人には「寄与分」が認められる可能性があります。

寄与分とは何か

民法では、共同相続人のうち、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、
被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持

または増加につき特別の寄与をした者があるときは、遺産を分ける際には、
その相続人に特別の寄与を認めて相続分を増やすことを認めています。

たとえば、次のような場合です。
ある農家の長男は高校卒業と同時に父を助けて農業に励み、長年にわたって生活を支えました。
次男は都会の大学を出てサラリーマンでした。そして、父親が何も遺言を残さないで死亡したとき、
長男は被相続人の父親に特別の寄与をしたとみなされます。

寄与した相続人が受けるこのような利益を「寄与分」といいます。

質問のケースの場合

父の療養看護によって財産の維持または増加という結果が生じたとして、寄与分が認められるのは、
たとえば、ホームヘルパーが常時必要な状態にあるのに、あなたの看護によって雇わずに済み、
ホームヘルパーへの支払いが節約された場合等です。
あなたの場合は、これに相当すると思われます。

したがって、あなたは寄与分の権利を主張することにより、妹たちより相続分を増やすことが
できると考えられます。

寄与分とはどれだけの額をいうのか

寄与分の額は、原則として相続人全員の協議でその額を決めます。
ご質問の場合は、あなたと2人の妹の間で決めることになります。
姉妹で決めることができない場合は、家庭裁判所に申し立てをして寄与分の額を決めて
もらうことになります。

その場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法、程度や相続財産の額等の諸事情を考慮して
寄与分の額を決めるものとされています。

ワンポイント

寄与分が認められるのは、相続人に限られるので、長男の嫁が長男の父を看護した場合は、
原則、寄与分には該当しません。
寄与分については、感情も入りいろいろな問題を含んでいます。
具体的な案件にあたっては弁護士等の専門家に相談されるとよいでしょう。