70代・女性のご質問

夫が死亡しました。遺産は、自宅とわずかな銀行預金だけです。
遺言はありませんが、生前の「うちはみんな仲がいいから」との夫の言葉どおり、
子どもたちも心よく「全部お母さんがもらえばいい」といってくれて、遺産分けに問題はありません。

ただ、書類を作る際、司法書士の先生に、わずかな預金額を伝えることに抵抗を覚えます。
金額をいわずに済む方法は何かないものでしょうか。

回答

典型的なサラリーマンOBの相続風景です。
遺産の全部、といっても自宅とささやかな預金を妻が全部相続します。
子どもたちは何の異存もありません。

夫の遺族年金で、つましいながらも心安らかな老後です。
そのためには、母と、子ども2人で遺産分割協議書を作成し、自宅と銀行預金の名義を
母に変更する必要があります。

しかし、多くの書籍に記載されている遺産分割協議書の雛形では、預金残高も明記することになり、
預金残高が司法書士や登記官等に知られるという難点があります。
わずかな預金の残高を知られたくないという相続人も多く、実務では[書式4]に示すような
簡略型が使われています。

この簡略型の協議書を使ってできるのは不動産の相続登記だけです。
銀行預金の名義変更は、銀行の書式を使って別途手続する必要があります。

ワンポイント

預金残高が多いにしろ、少ないにしろ、他人に知られることへ抵抗がある方は少なくありません。
そのような方にはこの簡略型の協議書をお勧めしています。

ご相談のような仲の良いご家族が、簡略型の協議書を知ってほっとする姿には、
こちらもほっとさせられます。

[書式4]遺産分割協議書(簡略型)書式例

遺産分割協議書
下記のものの死亡により開始した相続につき共同相続人全員は、その相続財産について
次のとおり遺産分割の協議を行い確定した。

被相続人の氏名山田太郎死亡年月日平成○○年○○月○○日
1相続財産中、次の不動産については山田花子の所有とする。

所在東京都○○区○○町一丁目地番○○番地目宅地地積○○.○○平方メートル
所在東京都○○区○○町一丁目12番3号家屋番号○○番種類居宅構造木造スレート葺
2階建床面積1階○○.○○平方メートル2階○○.○○平方メートル

以上の協議を証するため、この協議書を作成し各自署名押印する。
平成○○年○○月○○日相続人住所東京都○○区○○町一丁目12番3号
氏名山田花子印相続人住所東京都○○市○○町二丁目34番5号
氏名山田一郎印相続人住所千葉県○○市○○町三丁目45番6号氏名山田二郎印