支払原資は何か

企業の短期的支払能力は、企業が現在負担している債務に対する支払原資となるため、いま保有している資産ということになります。これから稼得する利益も支払原資に含まれますが、まだ獲得していないものについては不確実であり、まだ資産化されていないため、短期的支払能力の測定においては含みません。

また、資産には流動資産と固定資産がありますが、固定資産については短期的に回収を予定しておらず、長期間に渡り回収される性質であるため、短期的支払能力には含みません。さらに、繰延資産については会計上の擬制資産であるため、これも短期的支払能力には含まれません。

結果として、支払手段としての資産は流動資産ということになります。一方、短期的支払義務についても、長期借入金等固定負債はただちに支払わなければならないものではありませんから除きます。これらは、一般に前記したこれからの利益を中心としたキャッシュ・フロー(利益に償却費を加え、配当金・役員賞与等社外流出を差し引いたもの)で支払っていくことになります。

流動比率による短期的支払能力の評価

上述の通り、短期的支払能力については流動資産及び流動負債のバランスにより評価するため、評価指標としては流動比率を用いる事になります。
流動比率を使用する場合、その支払手段としての流動資産は、

ア.期末一時点のものであること
イ.売掛債権や棚卸資産の評価損について、実際に回収・売却するまで現金化される金額は分からないこと

が問題点として挙げられます。貸借対照表をメインにした静態的流動性はこの様な問題点がある事から、次項の動態的流動性によって上記の問題点を補う事が考えられます。

ポイント

短期的支払能力の評価に使用する指標として流動比率が最適です。しかし、流動比率に使用する流動資産においては、資産評価の問題があり、実際の回収可能額を流動資産計上額が表現しているとは限りません。

そのため、流動資産の内容を適正に評価する必要があるほか、静態的流動性の限界を認識し、動態的流動性によって補完する事が必要となります。