企業の支払能力とは

上述の通り、「資金繰り」の結果として評価されるのがその企業の「支払能力」となります。また、支払能力を可能とするのが財務上の流動性であり、こうした支払能力や流動性の程度により評価される概念として安全性があります。

1、資金繰り
2、支払能力
3、流動性
4、安全性

というように重なり合い、あるいは少しずつ分析の範囲の違うものがあり、また、支払能力や流動性も実際の分析上では次のような分け方もできます。

資金繰分析の必要性

このほか、支払能力では清算時支払能力というようなものもあります。倒産や解散時における債務支払能力の事です。企業の資金繰りを検討するにあたり、これらを少し整理しておいたほうが、各種経営指標や実数分析相互間での総合的あるいは比較検討のうえで役立つと思います。これらのうちで、一番広い概念は安全性です。

「財務の安全性」とは、

1「財務内容の健全性」と、2「当面の支払能力」です。後のほうが、おおむね流動性と合致します。

財務の健全性とは

財務の健全性は、

1「自己資本比率」が充実しているか
2長期的に使用する固定資産は、自己資本や長期借入金など安定資金で賄われているか
3正味運転資本「(自己資本+固定負債)-固定資産(含繰延資産)」と流動資金の比率は良好か

です。いわば、基礎的・構造的な安全性を指します。これは、先の長期的財務安全性とも言います。

支払・回収条件、在庫の回転期間

ところで、「財務の健全性」と「当面の支払能力」とは相互に関連しているわけで、固定資金面の調達が自己資本を中心に安定していて、正味運転資本が業容に見合って確保されていれば、当然に流動比率も高くなります。その結果、一般的には支払能力も高くなります。

なお、その際のポイントは、

1、支払・回収条件や在庫回転期間のバランス
2、資金繰りの巧拙

といった点となります。

これらは、「回転期間分析」や「資金使途分析」により把握することが出来ます。総資本回転率、それを構成する要素としての各個別資産、特に中心となる次の資産の回転率(回転期間)が検討のポイントとなります。

1、売上債権回転率(または期間)
2、棚卸資産回転率(または期間)
3、固定資産回転率(または期間)

「当面の支払能力」については、

1、当面の支払能力の高低
2、正味運転資本は、業容に比し妥当か
3、回転期間に異常や大きな変化はないか

等により、短期支払能力は十分かどうかを確認します。

いずれにしても、安全性の問題は貸借対照表中心の分析となりますが、長期支払能力については収益力が問題となりますので、損益計算書の要素が大きくなります。また、固定資産投資が長期安定資金で賄われたとしても、長期借入金や利払い等の額がその企業の支払能力を超えていれば、返済の進行につれて資金繰りを圧迫することになります。借入金の返済能力の検討は重要な個所になりますので、設備資金使途分析の技術(長期借入金の返済能力の検討)とあわせて確認してください。

ポイント

流動比率の検討において、資本回転率や在庫回転率などの検討は重要となります。長期的・短期的支払能力の分析についても重要となりますので、資金繰りに当該財務分析を併用し、企業の支払能力を判断してください。