資金繰表の信憑性のチェックの必要性

資金繰表の記入要領は「図表3-1資金繰表の記入要領(概要)」の通りです。資金繰表の作成は、回収条件・支払条件等に従って、計算された理論的数値をもって作成されているものです。このことから、提出された資金繰表が信頼のおけるものかどうかは、回収条件・支払条件に沿った金額であるかどうかを検討することにより、その信憑性を確認することができます。

また、7区分資金繰表には主要勘定科目の残高が記入されるようになっていますが、これら勘定科目の残高も資金繰表の収支に連動して残高が決まります。すなわち、資金繰表の「前月残高±収支=当月残高」となります。支払手形について例をあげれば、「前月支払手形残高+当月支払手形発行(買掛金支払(手形)-当月支払手形決済高=当月支払手形残高」となります。

このことから、これらを検討することにより、資金繰表の信憑性を確認することが可能となります。

資金繰表の記入要領(概要)

回収条件、支払条件の確認の仕方

小規模の小売店の売上代金は、ほとんどが店頭における現金売上のため回収は現金となりますが、ある程度の規模のメーカーや卸売業者においては、個々の取引ごとの決済では煩雑であり、事務合理化の観点から掛取引が一般的となっています。掛取引とは、月の5日、10日、15日、20日、25日、月末等の一定日を締め日とし、前月の締め日の翌日より当月の締め日までの取引を一月分の取引として決済(支払、または回収)する取引のことを言います。

決済日においては、そのうち現金何%、手形何%、手形サイト何日または何ヵ月と取り決めが事前に行われ、これが決済に係る取引条件と呼ばれます。例えば、回収条件、毎月10日締め、月末回収、現金30%、手形70%、手形サイト3ヵ月支払条件、毎月月末締め、翌10日払、現金40%、手形60%、手形サイト3ヵ月等となりますが、ここで最も大切なことは、当該企業の回収条件、支払条件をどのように確認するかということになります。

確認の仕方としては、

1、企業から細かくヒアリングする

2、決算書等から確認する

  ア支払手形の内訳書振出年月日=支払日、支払期日を確認する支払日~支払期日=手形サイト

  イ受取手形の内訳書

   振出日=回収日、支払期日を確認する
   回収日~支払期日=手形サイト

ウ確定申告用の決算書類の最後尾に添付されている「法人の事業概業概況説明書」の「8決済日の状況」より確認する。

エ決算書より、受取手形、支払手形の回転期間を算出。

支払手形の内訳書と受取手形の内訳書

オ売掛サイト、買掛サイトについても、決算書の各回転期間を算出。

3、自店の取引を通じて確認する(金融機関の場合)

  ア自店の当座取引の振出手形で確認(振出日=支払日、手形サイト)

  イ自店の取立依頼となる手形より振出日、期日から確認(受取手形サイト)

4、同業者、業界の取引条件を調査(各種の業種別審査辞典等を参考とする)

5、同業種の経営指標(中小企業実態基本調査、TKC経営指標等)を参考とする

等がありますが、日頃の取引、接触の中で把握しておくことが重要と言えます。

ポイント

回収条件・支払条件等の取引条件をチェックすること。取引条件の確認は資金繰分析のみならず、決算書の粉飾の有無の確認にも有用であるため、日頃より正確に把握しておく必要があります。