黒字企業における資金ショート

黒字倒産とは、利益は上がっているけれども、一時的または恒常的な資金不足によって債務支払いができず、その結果倒産に追い込まれる事をいいます。例えば、成長を急ぎ、実力以上に業容を拡大した結果、資金繰りが業容拡大に追いつかずに債務支払が行詰まるケースなどです。

現在は、各企業が資金余剰の状況のなかで金融機関も業績良好な優良企業には競って融資競争を展開していますが、スポット的に資金が足りないケースは引き続き発生しており、資金繰りの不良によるデフォルトということは少なからず発生しています。

黒字倒産のケース

一般に黒字倒産としているものに次のようなものがあります。

1表面上黒字決算であるが実際は赤字決算の場合
2企業の負担力を超えた過大投資により資金ショートに陥った場合
3本業以外への資金投下によって資金ショートが発生した場合
4資金繰り管理が行われていないため資金ショートを起こした場合

本来、損益と資金収支は長期的にみると一致しますが、その収入と支出にはタイムラグがあり、投下資金において一時的に巨額の収支差が生じる事は珍しくありません。こうした資金の過不足を適切に管理することは企業経営の重要部分であるため、これを行っていない場合には、与信管理上、取引先として選定する事は回避すべきとなります。

売上拡大・業容拡大と資金繰り

売上至上主義や業容拡大主義をとり、資金面での検討を軽視したため、あるいは無視したため、黒字倒産となった企業は多くあります。こうした過大投資に伴う黒字倒産を防ぐためには、将来に渡ったキャッシュマネジメントが必要ですが、それと併せて、その投入資金の規模が企業の財務に与える影響の度合いはどの程度かについて、十分に検討する必要があります。

資金余剰の黒字倒産

上述の過大設備投資にしても本業外への過大投資にしても、恒常的な資金不足状況の中で行われるケースは稀です。多くの場合、企業に手許資金が多くある場合に発生しています。ベンチャー企業など、成長性や特異性をもった企業に対しては、金融機関や投資銀行などからの資金流入も多く、比較的手許資金が潤沢な場合があります。

しかしこうした企業では、手元資金が潤沢であるが故に十分な資金管理を行わないまま過大な投資を実施してしまう事が散見されます。事業の成否によっては投下資金の回収が難しくなり、調達資本の返済や利払いが滞る事象が生じるのです。こういう相手先に対しては、潤沢な手元資金にとらわれず、事業計画の精度や事業環境などを鑑みた上で、資金投下するべきと考えます。

資金使途分析の重要性

健全な資金使途である事や実力を超えた投資・融資はしない事は非常に重要ですが、外部からこれを分析判断するには十分な経験が必要です。これは資金使途分析に強くならなければ適正な判断はできませんので十分勉強し、習熟するようにしましょう。ところで、黒字倒産企業の中には、表面上黒字決算であるが実際は赤字決算というケースが少なからず存在します。

例えば、不良債権やデッドストックが発生している企業において、これを決算において損失計上しなければ、表面上は赤字には陥らないものの、実質的に資金回収ができない資産を保有し続ける事になるため、実質的に営業活動における資金繰りを圧迫し、その額が企業の負担力を超えると倒産ということもあります。こうした粉飾決算について注意すべきポイントは、資産の適正水準の把握と、適正水準を超えた増加の有無を確認する事です。

例えば、上記の不良債権やデッドストックの場合は、資産の回転率が悪化します。

ポイント

決算は「黒字」だが、資金繰りが良くないのが、いわゆる黒字倒産です。資金繰りは将来におけるビジネスリスクであるため、経営者には事業の遂行や損益数値の管理のみならず、資金ショート等が発生しないように資金繰りを適切に管理する事が求められます。資金繰表などの管理体制が構築されているかどうかで経営者の資金繰りに対する向き合い方が分かるため、こうした資料の精度を確認する事により、経営者の姿勢を判断する事が出来ます。