70代・女性のご質問

夫が先月他界しました。夫は生前2人の子どもとの間で
「財産の全てを妻に相続させるから、子ども2人は相続を放棄すること」
という相続放棄の契約を締結していました。

子どもたちは不満を述べていますが、この契約は有効でしょうか。

回答

生前に亡父と子どもたちの間でなされた相続放棄の契約は無効です。

したがって、原則として、相続人である3人が遺産分割協議をすることになります。
子どもたちが相続分を主張すれば、妻の相続分は遺産全体の1/2、
子どもたちはそれぞれ1/4となります。

生前になされた相続放棄の有効性

被相続人と相続人の間で生前になされた相続放棄の契約は、法律上無効とされています(判例)。

生前になされた契約を無効とするのは、
被相続人が相続人に対して強制的に相続を放棄させる等のさまざまな問題が考えられるからです。

ご質問のケースの場合

夫が妻に全財産を相続させたいのであれば、その旨の遺言書を書くことを勧めます。
このケースの場合、「全財産を妻に相続させる」という遺言書があって、
子どもたちが遺留分の放棄に応じてくれれば、全財産は妻が相続できます。

もし、子どもたちが遺留分を主張すれば、遺留分はそれぞれの相続分1/4の半分、1/8となります。

ワンポイント

父親がしっかりしている家庭において、
生前に子どもたちに相続の放棄の文書を書かせたという話は、よく聞きます。

被相続人は、この文書が有効と信じて安心していますが、
相続発生後子どもたちが行動に出れば、遺産分割の揚げ句、
妻は今までの居宅に住めなくなる可能性も出てきます。

妻を守るためには、住んでいる土地・家屋を元気なうちに妻に贈与する
(婚姻20年以上の配偶者贈与の特例)などの生前贈与の活用と、遺言書の作成が大変重要となります。