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役員報酬の日割は認められない

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百五十四回目。

テーマは、

「役員報酬の日割は認められない」

です。

私は数多くの税理士から
税務の質問を受けていますが、
よく質問を受けることの一つに、
役員報酬があります。

税理士の顧客の多くが中小企業であり、
その中小企業が節税を考える上で
真っ先に考慮すべきは役員報酬ですが、
現状の役員報酬の税制は

「毎月同じ金額を支給しないと経費にならない」

という、常識がない仕組みを前提としています。

結果として、経費になる役員報酬の
範囲が問題になり、多くの疑義が生じています。

とりわけよく問題になることとして、

役員報酬の日割

があります。

従業員給料は「支払うべき原因が発生した」
タイミングで費用とする発生主義の原則が
とられています。給与の支給は、例えば
20日締めの翌月5日払い、といった形で
20日までの分を翌月の5日に払うといった
処理になります。

ただし、決算は原則月の末日です。
このケースでは21日から末日までに
「支払うべき原因が発生」しているため、
決算においては21日から決算日である月の
末日までの日割の従業員給与について、
費用にすることができます。

一方で、役員報酬については、
従業員給与とは異なり、

日割の給与を経費にすることはできない

と解説されています。

この理由として、従業員給与は
「雇用契約」に基づいて支給される反面、
役員の給与は「委任契約」に基づいて
支給されるためと解説されています。

その解説によると、「雇用契約」は期間が
経過すれば給与を支払う義務が発生するため
日割の給与も発生する反面、「委任契約」は
本来委任事務が終わらないと請求できないという
原則があるため、日割の給与を認めることは
できないと説明されています。

しかしながら、税理士の実務でこれらの契約の
違いを意識することはほとんどありません。

従業員給与も役員報酬も、同じように
締日と支給日を決めて支給されていますし、
税法の取扱いとして、同じ給与所得で
課税されるからです。

このため、支払先が
従業員と役員で異なるとしても、

日割の給与の処理は変わらない

と考えてしまいます。

加えて、「委任契約」や「雇用契約」の話は
民商法の解釈ですが、税理士試験には
民商法は一切出ませんので、
「委任契約」と「雇用契約」の違いについて、
税理士は勉強していません。

このため、両者の相違も正確には
理解できていない場合が多いですから、
気付かないうちにミスをしている税理士も
多くいると思われます。

何より、融通が利かず、判断が難しい
現状の役員報酬の税制に、批判的な国税職員は
少なくありません。加えて、役員報酬の日割金額を
認めても、それは大きな金額ではありませんので、
調査官はわざわざ是正させる必要性を
感じていないはずです。

役員報酬の税制はおかしなことばかりですが、
役員報酬の日割についても国税の温情が
期待されます

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